シューフィッターこまつ@毎日靴ブログ

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1061 スタンスミスLUXを讃える回

 

おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

今日はとてもいいことがあって上機嫌なので

アディダスの「スタンスミス」について

はげしく書いていきます。

 

もっと具体的にいうと

「スタンスミスLUX」について

一方的に熱くプレゼンします。

 

エコのノーマル合皮タイプの方には厳しめなので

なんか苦手なかたは

ご容赦ください。

 

地球にやさしいらしい

標準的な合皮スタンスミス。

実勢価格8400円。

 

 

アディダスオリジナルスadidasOriginalsスニーカースタンスミスピュア(H06188SS23)STANSMITHPUREメンズ・レディースホワイト/ダークブラウン

私がはげしくおすすめしたい

天然革バージョンの「LUX」。

実勢価格15000円。

 

「LUX」=「ラグジュアリー」だけあって

値段が倍近いですね。

しかしその価値はあります!

バーンバーン(机を叩く音)!

 

それぞれを独立してみると

ちがいが全然わからないものです。

 

まずは落ちついて並べてみましょう。

 

 

どちらもホワイトです。

細部もそうですが

まずは全体の色がちがいますよね。

 

ここ大事です。

 

〇「まっしろ」は安っぽい

 

照明の関係もあるでしょうが

自然光の下だとじっさいこれくらいの

色の差はあります。

 

「しま〇ら」や「靴のチ〇ダ」あたりだと

adidas neo アディダスネオ クラウドフォーム スニーカー

4000円くらいでこのへんが

たたき売られています。

 

そういえば最近「アディダスNEO」、

すっかり見なくなりましたね。

もともと影も薄かったんですが

いつのまに世から姿を消したんでしょうか・・?

 

値段相応に、

とにかく安っぽいんです。

質感うんぬんもありますが、とにかく色!

 

家電製品のような白さなんです。

なんならコピー用紙よりも白い。

 

靴の設計時代きつく言われていたのが

「まっしろだけは絶対に使うな」、

これ100万回くらい言われました。

 

理論はわすれましたが

蛍光灯とおなじで白ければ白いほど

「事務的な冷たさ」を感じるように

視覚ってできてるんですって。

 

じっさい(たぶん今でも)革の値段は

・まっしろ と

・微妙にアイボリーまじり で

単価が1.5倍くらい違いました。

 

スタンスミスもそうです。

 

合皮バージョンがノーマルになったとき、

質感よりさきに

(なんで真っ白にしちゃったかな?)

という違和感しかありませんでした。

 

そして質感が気になり、近づいてみると

合皮のスタンスミスは

「これで8000円超え・・?」としか

思えなくなるので、

気になった方はよーく見てください。

 

 

〇細かいところで寿命が変わる

 

たとえばスニーカーで

まっさきにダメになるところって

かかとの内側じゃないですか。

あそこ、すぐ穴があくでしょう?

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合皮だと特に。

 

これがLUXだと

正直手を抜いてもよさそうなところを

きっちり極厚の天然革で仕上げてくるんです。

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もちろん中敷きも同じ素材。

 

普通に履いていて

これにカカトの摩擦で穴をあけるって

ほぼムリですよ・・・。

 

合皮は経年劣化とシンプルな弱さで

・履けば摩擦で

・履かなければバキバキに乾燥して

どのみちすぐ穴があきます。

 

ちなみにこのかかとの内側を

「すべり」って靴用語では呼ぶんですが

革靴の場合は革でも

意外とすぐに穴があきます。

ほとんどの方が身に覚えがありませんか?

 

革靴の場合はスニーカーみたいに曲がらなくて

カカトとの摩擦がはげしいのと

アンクルパッドがついていないので

カカトがブレるため。

 

革靴なら「すべり」に穴があいても

上から革をあてがって縫って仕上げて

意外に早く安くリペアができます。

 

スニーカーはリペアできなくはありませんが

縫い目が内側に入り込んでしまうので

完全に穴があいてからリペアに出すと

人によっては卒倒するお値段になります。

 

外見は気にせず、セルフで直しましょう。

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これでも貼るのに意外とコツがいるので、

スニーカーならやっぱりはじめから

革でできているものがいいですね。

 

なかなかありませんが・・・。

なかなかないうちのひとつが

LUXです。

 

「すべり」だけじゃなく

こんなところもちがいます。

 

上:ノーマル

下:LUX

 

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①ベロ。

 

・合皮+裏も合皮→足首に刺さります。

・天然革+天然革→スーパーソフト。

 

加えていえばLUXはベロのパーツには

革の端っこの「薄すぎてやわらかすぎる」

本来なら捨てられるであろう部分を

使い切ってるので命を粗末にしていません。

 

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②ベロ止め。

 

説明するまでもありませんが

説明します。

 

合皮で切りっぱなしは絶対アウト。

コケたくらいの衝撃で

紙みたいに一気にタテに裂けます。

 

革靴のメーカーのレザースニーカーでも

コストカットのために

有名なところでも実はよくやってます。

 

LUXは手抜きをしません。

これが本来のベロ止め。

誰も気にも止めないこんな小さなパーツの革も

一個もムダにしません。

 

もはやエコとは・・・?

 

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③断面。

「切りっぱなし」

「ふくろ縫い」。

 

スニーカーはとにかく

1にも2にも強度なので

基本トップラインは

「ふくろ縫い」一択なんです。

 

強度も強いし

上から見降ろしたとき

素材の断面が見えるって

イメージ以上に安っぽさしかありません。

 

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④ケツ。

 

強度は同等ですが

革はスマートに縫い割り。

合皮だと縫い割りではパンクしますね。

 

 

〇なによりここが激推し!

 

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⑤オパンケ縫い。

 

オパンケとは・・?

アッパーとカップソールを

補強のために縫うこと。

まだ接着剤が弱かったときの名残ですね。

 

 

うしろからみても一目瞭然ですが

LUXがきちんと360度縫われてるのに対し

オリジナルは溝が彫られてるのに

前半分しか縫っていません。

 

これ・・・・実は

合皮の方がオリジナルなんです。

 

最近調べてようやくわかったんですが

どうやらスタンスミス本人が

「補強は前だけでよい」と言ったらしい。

 

よくないんだわ。

 

テニスでガチで使うんならいいんですが

もうそんな人いないでしょう。

 

リペア時代、うしろ半分が

がっつり剥がれたスタンスミスが

月一くらいの割合で来ていました。

 

オパンケ縫いは専用のミシンがないと

縫えないので、はがれたら接着するしか

リペアの方法がありません。

 

しかし「たわむ」部分なので

応急処置程度しかできないんです。

 

正直みためも汚いので

「おのれええ・・スミスめ・・」と

恨みながら修理をしたことは

誰でもあるでしょう。

 

 

すぐこわれて廃棄処分になる靴と

そもそも壊れづらく何年も履ける靴って

本当にどっちがエコなんでしょうね。

 

 

プレゼン終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

もちろんこれです。

 

「スタンスミスLUX」。

 

ユニセックス

14850円。

 

私にも正直読めんのですよ。

アディダスがこれからどうしたいのか。

 

「LUX」はネットか各セレクトショップ

アディダスの直営店にしか置かれてませんが、

どこでも確実に売れてます。

 

見ていても基本

販売員さんのしゃべる隙は

いい意味でありません。

 

スタンスミスはリピートして一生履きたい

なんでこんなにダサい合皮になった(怒)

革モデル復活やっほう!最高だぜええ!

(今ココ)

 

問題はアディダスがどっちに舵を切るか

ブレブレなんです。

 

でも世界的に革屋が減ってるから

革モデルは数年以に一回、とかの

限定バージョンになる可能性が大です。

 

革と合皮とか

靴のつくりの細かさにこだわるのって

日本人くらいかもしれませんから・・・。

 

日本人最高!とかいうわけじゃなく

シンプルに世界的な流れです。

今後はどれだけ「いい感じの合皮」競争に

どんどんなっていくでしょう。

 

それがいいことか悪いことかは

個人の好みですが

私はやっぱり革が好きです。

 

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それではまた明日!