元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

383 源ちゃん(ベルルッティ貸し切り事件)。

こんばんわコマツです。

 

この話、もしかすると書いたことが

あるかもしれません。

重複してたらごめんなさい☆

 

でも、重複してても書く価値はあるので。

 

「源ちゃん」=

井上源太郎さんの話。

靴磨きのレジェンドです。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

私が説明するのも野暮ですね。

 

伊勢丹さんに許可頂いたので

記事貼らせて頂きます。

www.imn.jp

 

今どこにいらっしゃるんだろう?

って調べてみたら、

まだ現役でいらっしゃいました・・!

(さっき電話で確認とりました。)

このブログを読んで、

なお勇気のある方はぜひどうぞ。

theokuratokyo.jp

 

戦争のまっただなか、

防空壕の中で産まれた方です。

東京のホテルオークラで半世紀以上

靴を磨かれています。

 

そんなレジェンドに

忘れもしない16年前の春に

実際磨いてもらったときの話。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

とあるマニアックな本で

井上さんの存在を知りまして。

 

持参したのは、

なんでか

どーやっても光らない

最後のロットの

カールフロインデンベルグ

で、サンプルとして自分用にちゃっかりつくった

セルフオーダーメイドのやつ。

(靴設計あるある)

英語がおかしいか?

まあいいや。

 

一応電話で予約して、直行。

緊張しまくり。

ホテルの地下に降りていくと、

すぐわかりました。

8畳くらい?のスペースに

靴に囲まれて

井上さん、いらっしゃいまして。

意外と背中は筋肉質。

初対面が背中だったんですが、

30代の身体付きですよねー。

(実際、「しまった息子さんか?」と思った)

カート・コバーンみたいな赤×黒の

いい感じのシャツ。

当時は長髪を無造作にゴムで束ねてて、

まあとにかく背筋がちょっと異常だった。

スプリンターの背中ですね。

 

以下、当時の記憶のまま。

コマツ(以下・コ)

井上さん(以下・源)

 

コ「予約したコ・・」

源「(じろっ)」

 「(にやっ)」

 「今履いてるやつ?時間かかるよ」

 

この「間」でわかったんです。

秒でバレたんですねー。

客というか・・ワザ盗みに来たやつだって(笑)。

続けます。

 

コ「いや、この靴なんですが」

(靴出す。)

「合成皮革は光らないよ?」

 

いやいやいやいや、

いやいやいやいや、

This is 

最後のロットの

カールフロインデンベルグーーーー!

(を盗んで勝手につくったやつーーー!)

 

コ「ドイツボックスのはずなんですが」

源「(笑)わかってるよ。からかってごめんな!」

 

からかわれたーーーーーー!!!

 

コ「磨いていただけますか」

源「2時間。2時間たったらきて。」

コ「作業見たいんですが」

「ダメ」

 

まさかのアウト――――!!

 

しかし引き下がれない。

 

コ「見たいんです!」

源「2・時・間! 上のロビーで待ってな」

 

ダメだ完全に気づかれてる。

 

やってもらわなくてはしかたないので

すごすごとロビーに戻る

ふりをしながらの壁からチラ見。

 

目が合った(笑)。

完全に読まれてる・・。

詰んだわーーーー!

 

とでも思った?

私は貪欲なのでね・・・・

いったんロビーにちゃんとひきかえしつつの、

3分後に壁からチラ見。

ちなみに視力2.0なので、

今でも3メートル先の細かい字程度なら

余裕で見れます。

そっと見の視線の先には・・・

源ちゃんの目(笑)。

 

すごすごとだーれもいないロビーに帰り、

シンキングタイム。

 

コ:「(2時間・・・ほんとに2時間か??

 いや、1時間のはず。

 今はダメだ。30分後ならワンチャン

 見れるはず。やっぱ俺頭いい!)」

バカでしょー。

この人(私だ)、バカなんですよ。

 

30分後、地下に降りる。

壁からチラ見。

おや・・?

ちがう靴磨いてる。

近づいてみよう。

コ「」

「できてるよ(笑)」

 

やーらーれーたーーー!!

 

一瞬も!

一瞬もみれなかった!

しかも・・・

・・・磨きたてで生まれ変わっとる(泣)!

 

たぶん私が

相当やられた顔してたんでしょうね。

源「靴つくってるの?」

なんでバレたし。

わざわざ中敷きは上司の引き出しからパクった

「銀座ワシントンの中敷きのサンプル」

をダミーで貼ってあるのに・・・?

 

源:

「ワザ盗みに来たってムダだよ(笑)。

技術じゃないんだ。ゆっくり見な。

(ここでガチで見せてもらう)

結局さ、ワックスなんだよ。

一応KIWIの缶に移してるけど、

家で鍋で煮てるんだよ。

匂いかぐ?いいよ?

・・・わかんないでしょ(笑)。

だって人間用の化粧品使ってるもん。

なんでみんな気づかないかなーって

逆に思うんだよね。」

 

目の前で見た風景は。

独自ワックスぬりーの(わかる)

水たらしーの(わかる)

ネル・・・じゃなくて

ティッシュ

え・・・

しかも光ってるし(わからん)。

いまだにこのカラクリがわかってません。

ちなみにワックスの匂いは、石油系は

たぶん・・まったく使っていない。

千葉スペシャルさんとは完全に真逆。

 

結局夕方まで作業を拝見しました。

・・・というか・・

目の前の存在を忘れられてる感・・?

 

しかし話はここからよ。

 

源「あんたヒマでしょ」

コ「(ヒマというか最高に充実してるが・・)

 コクコク」

源ちゃんおもむろに固定電話をとる。

 

「・・もしもし?そっちにおもしろいやつ

送るから、頼む(笑)」

えっ

誰に掛けたの。

しかも俺面白くないし。

源ちゃん、殴り書きのメモ渡しながら

「ここ行きな。タクシーきてるから早く!」

えっ 

えっ。

 

最敬礼して、

噛みまくりながら感謝の言葉を伝えて、

ダッシュで階段上って

フロントで磨き代払って、

(たしか当時800円!)

 

タクシー乗った。

メモ渡す。

着いた。

ここは・・・

ベルルッティじゃん。

 

しかも夕方なのにおしゃれ感満載の

シャッター降りてるんですけど。

営業時間内?外?

ていうかどういう立場?

 

シャッターの前に立つ。

ピンポン・・あるわけない(笑)。

おや防犯カメラがふたつ。

あ、なんかシャッター開いた。

正装?の紳士がひとり。

 

「お待ちしておりましたコマツ様」

 

なんか書いててフラフラしてきましたが、

すべて事実です。

続けます。

 

うながされるまま入店したら

シャッターが下りた・・・・。

 

詰んだ。

 

ベルルッティ貸し切り=

買わされる=

=そういうことかーーー!

=じゃなきゃあんなVIP対応ないよね

って誰でも思うじゃん?

 

じゃなかった。

結論から言うと、まったく

「買わなくてもいいから、履いていって」

だったんです。

本当にマジでガチで!

私を信じて愛して介護して!

 

おそらく店主であろうかたから

ベネチアンレザー、

ティーヌ、

靴とアートについてのレクチャーを

2時間ほど徹底的に頂きました。

さらに

10足以上試し履き「させられました」。

 

タダで。

その話はまたいずれ。

 

以上がその日の

たった数時間の話。

 

書いていてもキツネになんたらな感じ。

でもガチ話なんです。

ジョンロブ(ブログ145)でもそうでしたが、

アクションひとつで異空間に行けます。

 

だから野心と下心と

オタク魂は大事にしましょう。

 

んで、こんな粋な計らいができるように

汗流しましょう。

 

本題終了!

 

じゃなかった後日談。

某所にて一方的に源ちゃん発見。

@某京浜東北線

ぼろぼろの紙袋ふたつに

ドバドバっとベルルッティーーーー!

こらこらこらこら。

しかも誰も気づいてないし。

あ、当たり前なのか。

 

近づいて一礼。

 

コ「あの時はありがとうございました!」

源「・・・・誰?」

コマツだよ!

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

ベルルッティ

 

しかないでしょ。

これだけはネットで買うものではない。

 

公式HP↓

Berluti

 商品メイン画像

 

 商品画像

 

 商品画像4

 

 なんていうか、

繊細なのにバキバキの緊張感。

ヴィトンも

エルメスも追いつかん。

 

知られたくないけど、

うっかり書いちゃった☆

 

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それではまた明日!