毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

564 カネがないなら勉強するしかない。

いきなり本題から外れますが

クイズ。

 

歴史上実際あった話です。

 

あなたが冬真っただ中の

北海道にタイムスリップしたとします。

 

明治時代、開拓民の時代だとして。

とりあえず目の前には

隣町までの「橋が崩れている」状態。

 

下は川。

 

むこう側まで20メートル。

 

Q:これを明日までに渡れるようにせよ。

 

さあどうする。

 

30秒真剣に考えてください。

 

ヒント:

 

①迂回はできない

②川は水が流れている

③トドマツがわんさか茂っている

 

とんちじゃありません。

超王道な答えがあります。

(私は外しましたが。)

 

考えました?

あと10秒!諦めんな!

答えがこれ。

 

ソース画像を表示

いや写真じゃよくわかんないよね。

 

氷橋(スガ橋)といいます。

やりかたはシンプルで、

 

①丸太を切ってむこう端まで渡す

②幅が必要なら2~3本使用

③枝とかを適当に隙間に敷き詰める

④川の水をぶっかける

 

翌日には数トンの荷物を引いた

馬車が通れる橋ができあがってます。

強度的にはコンクリより上(!)。

 

さらに手間を加えてフラットにすると

写真のような状態になります。

考えられんでしょ??

 

夕方に水をぶっかけるだけで

メンテ終了。

ひと冬使えたらしい。

 

「知恵と知識はどっちが大事ですか」

ってのは脚本家・倉本聰の名言ですが

どっちも大事。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

靴修理も靴製造も靴販売も

たぶんどの業種も一緒でしょ。

まず憑りつかれるくらい好きになること。

 

憑りつかれたら無敵です。

勝手に勉強モードに入るんで。

 

だからあれだな・・・・

靴盗むようなフェチの人って

多分私なんか足元にも及ばないんじゃないかな?

 

フェチは・・・無理だ。。。。。

臭いパンプスとかパンストとか

絶対ムリだもん。

 

Kさんという大御所がいらっしゃるんですが

この方は「フェチ」を公言してらっしゃいます。

 

今かなりお年いってらっしゃるはずですが

ミシンの「針の研ぎ方」をいつぞや

レクチャーしてくださいました。

 

「子ヤギの革は、少年のおなか。

それをプスプス刺していく感じで。

だから私は子ヤギの革が大好きなんですよ」

 

ちょっと襟足がザワザワっと来ましたが

不思議とイヤな感じはしませんでした。

 

(あーこの人本当に憑りつかれて 

 無敵モード入ってるな・・・)と感じましたが。

えらい勉強になりました。

 

針を砥石で研ぐなんて

たぶん海外の連中にはできんのですよ。

 

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(マスターリーガル:岩手製靴)

この写真見せても

なんもリアクションないでしょうね。

それでいいんです。

 

そのうち海外勢が続々と

勝手に絶滅しますって。

前々から言ってるでしょう?

こちらはただ刃物を研いで待てばいいい。

 

レンデンバッハもなくなった。

革底の需要がなくなったから

当然といえば当然。

 

まーさーかー日本のリペア業界で

争奪戦になってるとは

思いもしないでしょう(笑)。

普通の革の3倍は持ちますからね。

 

イギリスのベイカー社もありますがwww.kkmamoru-nyshop.com

なんかこう・・・

(首ポキポキ)

そういうことじゃないんだよなー。

 

原材料が4100円てそもそも無理だし。

 

さて・・・

残ったのはイタリアと日本の

もろい床革と未知の材料。

これを調理する方が全然面白いでしょ。

 

これを知識と知恵で

レンデンバッハを越えていくのって

絶対できると思う。

 

私も今いろいろ実験中です。

無限蔵のジビエ使って。

クマの床革とか絶対強いでしょ(笑)?

まだクマは試してませんが。

 

二ッチだから面白い。

敵のいない

ブルーオーシャンですからね。

 

1年くらい待っとってください。

日本人の「革底好き」って

半端ないですから。

 

本題終了!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

【今日のおすすめの1足】

 

ビルケンのメンズブーツ。

「ジャクソン」

 

31900円。

Jackson  Nubuck Leather

Jackson  Nubuck Leather

 

 

Jackson  Nubuck Leather

 

Jackson  Nubuck Leather

【公式】ビルケンシュトック ジャクソン ブーツ メンズ ダークブラウン BIRKENSTOCK JACKSON

 

まずは一言。

・修理できます。

 

なに言ってんの?と思うでしょうが

ビルケンはリペアするのに

どえらい時間がかかる。

 

ヒールの交換だけで1か月~3か月。

いやいやいやいや

そんなに待てないって!

 

たとえば具体的に

このモデルだと私の所属してる店なら

ヒールが減ってもこれ使います。

 

ビブラム#1100ヒール。

作業時間1~2時間。

オリジナルの倍は強い。

 

靴本体に話もどしますが

値段のわりによくできてます。

ステッチダウン製法なんで

雨は多少入ってきちゃうでしょうが・・・。

 

ストレスフリーで

ヌバックがとてもいい感じ。

汚れた方がかっこいい。

 

 

こういうモデルがある一方で

おすすめできないのもある。

 

こんなの。

ソールがフラットの一体型。

Bend Suede Leather

モノはいい。

雰囲気もある。

 

ただし公式で修理すると

「ヒールが減った」だけで1万かかる。

期間も3か月。

 

最初からシューグー盛れば

すべてOKなんですが。

 

 

でもそんな裏ワザ知らんじゃん?

 

これこそ氷橋みたいな「知恵」だからね。

ビルケンの販売員も

リペアの人間も知らんでしょ・・・。

 

減ってからでは遅い。

新品のうちに盛れ。

 

穴があくほどになって

リペアに持ってこられても

これが限界。

 

一体成型だからセンスで削って・・・

Image

「傾斜板」っていうゴムを

プライマーという劇薬と

接着剤で付けるだけ。

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Image

全然すっきりしない。

 

なんだこのつぎはぎ感。

こんな修理ないだろ・・・・。。。

でも他に方法ないんだよなー。

 

ちなみにこの「傾斜板」、

イタリアのTOPPY社製ですが

コストの割に

正直持ちは悪い。

 

4年以上前から会社に言ってるんですけどね。

会社に無断で個人で

ビブラム社とやり取りしたんですがね。

 

いまだにストロング版は実現してません。

もうちょい待ってて。

しつこく粘るから!

 

あとビルケンももうちょい考えて。

デザインはいいけど

使い込むんだから。

 

このままの仕様でいいけど

オールソール、せめて半月に短縮しないと

もっともっとお客さん離れていくよー。

 

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それではまた明日!