毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1207 厚底そして本格靴

 

おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

K様からご相談を頂きました。

 

靴の製法や修理といったものに興味を持ち始めた21歳の女です。

 

厚底靴(10cm〜のがっつり厚底)が好きなこともあり、自主的に靴を買う時はデザインのみを見て買っています。

 

高校生の頃からローファーも好んで履いていますが、ローファーと言えばHARUTAでつま先が擦れる度に買い替え、というような状態です。

 

ご相談としては大きく3つになります。

 

①私の足の特徴、フィットする靴の傾向

 

今現在特に困っていることはないのですが、今後靴を選んでいく上で参考にしたいです。

帰ってきて足が痛いなと思う時はおしゃれ靴や職場で履くヒールの時のみで、靴擦れ等のトラブルもここ数年起こしていません。



問題解決というよりは「足にフィットする感覚が知りたい」という気持ちが大きく、この先靴を選んでいく上でどのような靴が私に合いやすいのか知ることが主目的です。

今はタンパッドもインソールも利用していませんが、より快適になるということであれば導入したいと考えております。

 

②どんな靴が私に合うのか

 

ざっくりした質問で申し訳ないのですが、年齢的にも一足くらい『修理しつつある程度長く履ける革の靴』を買いたいと考えています。

ブーツは普段履かないので、それ以外だと助かります。

 

条件としては

・予算は3万円程度まで

・色はセルフメンテナンスがしやすく奇抜でない色

・カジュアルな服にも合いやすいもの

です。

 

形の好みについては文章で伝えるのが難しいのですが、シュッとしたものよりはころん、とした可愛らしい形のものが好みです。

服装はサブカル系、地雷系、韓国系……といった所謂最近流行りのファッションをイメージしていただければ大丈夫です。

 

広義の良い靴というものはオフィスカジュアルやきれいめのコーディネートに合わせるのに向いているのでは?上記のような服装には安い靴を数ヶ月〜1年程度で履ききる方がよいのでは?という気持ちもあるのですが、こまつさんの知識をお借りして普段から履ける靴が見つかれば嬉しいです。



③不健康な形にカスタムするのはどうなのか

 

私は厚底やハイヒール(ピンヒールではなく、チャンキーヒールやプラットフォーム)、ゴツゴツした重いソールの靴を好んで履きます。

これらが足に負担をかけることは承知の上で、メンテナンスができる革のアッパーに上記のような不健康なカスタムを施すことの是非をお聞きしたいです。

無粋では?デザインへの敬意がないような……、とは思いつつ、できたらいいんじゃない?という安直な自分もいるのです。

 

こまつさんはどう思われますか?

 

一部抜粋させて頂きましたが

ご質問は以上です。

 

21歳(!)はたぶん過去のご相談者でも

ご本人様みずからとなれば

若さから数えるとトップ3に入りますね。

 

靴に興味のある若い方は

めちゃくちゃ多いですが

「製法と修理」に興味を持ち始めましたか

お嬢様・・・。

 

ようこそ沼へ。

 

さくさく回答して参りましょう!

 

・・・

 

①お足の特徴とフィットする靴

 

写真と文章を拝読する限り、

正直、「めちゃくちゃ健康」という

大きな特徴があります。

 

実は足の写真はこれ以外にも

何枚か頂いてるんですが・・・

どう見ても特に問題はありません。

 

そりゃいろんな靴履いても

なかなか痛くならないわけです。

おそらく遺伝で足表面の皮膚も厚いはず。

薄い方はなかなかここで苦労します。

 

あえて言えば、

「かかとのボリューム」が

標準~やや大きめでしょうか。

もちろんいいことです。

 

数値がないので目算なんですが

カカトが細くないので

骨~腱~筋肉のバランスがちょうどよく

ケガもしづらいのではと。

 

一日ヒールを履いて

足が痛いのはなにより健康な証拠。

 

冗談を言っているのではなく、

ヒールになれてしまうと

痛みを痛みと感じなくなりますからね。

悪い意味で麻痺です。

 

アキレス腱も硬くなり、

スニーカーやローヒールが逆に

痛くなる方も多い。

「ヒール足」とか呼ばれ始めてますが。

 

「足にフィットする感覚が知りたい」ですか・・。

K様の場合は難題ですね。

 

フィット感って「絶対」ではなく

「相対」なので、

足が痛い方の方がすぐ理解できます。

 

ただ・・それでもフィット感が知りたければ

1キロくらいを全力で走ってみてください。

ふだんのスニーカーと、

ガチのマラソンシューズで、です。

(ナイキ・アルファフライ)

いちいち購入するのもって値段なので

メガスポーツ店か

ナイキショップだとランニングマシーンで

試せる可能性があります。

 

すぐ違いがわかりますよ。

ただ足に食いつくだけじゃなく

「足の動きに食いついてくるもの」が

本当にフィットする靴です。

 

今は必要ないでしょう。

 

しかしあと5年くらいで

「おや」

と思う瞬間がきます。

 

それが老化というものです。

足が痛みだしてから

はじめてフィット感がわかるはず。

 

つまり①の回答は

「今は何でもフィットしてしまうので

5年後にならないと傾向がみえてこないので

現時点ではなんも言えません」が

正直なところです・・・すみません・・。

 

インソールとはいえ異物です。

すがらず過ごせるなら

それが足にとってはベスト。

 

アスリートでもなければ

インソールもタンパッドも要りません。

むしろそれに依存して

歩くフォームが崩れるほうが

ずっと不健康だし余計なことです。

 

今は10センチと言わず

15センチくらいに挑戦しましょう

・・くらいの軽さでいいです。

 

・・・

 

②本格靴

 

整理しますね。

 

・3万以内

・しゅっとしてなく「ころん」とした形

・奇抜でない色

・セルフメンテできてブーツではない

 

でいて

 

・オフィスカジュアル

・きれいめコーデ

 

にも合うものですか・・。

けっこうあるんですよね・・。

 

心眼!

 

まっさきにこれですね。

 

ダンスコ。

 

ダンスコdanskoプロフェッショナルprofessional女性靴ブランドサンダル厚底レディースクロッグスサボ本革レザーコンフォートウエッジソール【marquee】

ダンスコ dansko プロフェッショナル サンダル professional レディース 女性 靴 ブランド クロッグス サボ 厚底 本革 レザー ウエッジソール コンフォート

 

ネット価格だと2万前後、

リアル店舗だと+5000円くらい。

 

ダンスコに限らず

「サボ」って今風ですし

かつトラディショナルなので

意外とコーデからはずれません。

 

カカトがスーパーストレートなんですが

K様のカカトなら

きっちり安定するでしょう。

 

メンテは基本ブラッシングのみ、

オイルレザーなので

気になったらレザーバームあたりで

SaphirNoir(サフィールノワール)レザーバームローション125ml

サフィール ノワール レザーバームローション 汚れ落とし 保革 ツヤだし レザーローション ローション クリーナー レザークリーム 手入れ ケア レザーケア 艶出し 栄養 革 皮 レザー 靴 バッグ 皮革 靴磨き シューケア 125ml SaphirNoir

 

汚れ落とし+栄養+乾拭きで充分。

 

修理も割と簡単です。

この底、こうみえて一体成型なので

そもそもあんまり削れづらい。

 

カカトもトウもカーブしてるので

かなりハードに使っても

1年に1回も修理の必要はないかもです。

 

ソール本体は確実にポリウレタンですが

履き続けてさえいれば

加水分解をあまり怖がらなくてもいいです。

 

日本ではおしゃれ靴の王道のダンスコですが

海外だと医療分野のガチ靴です。

クロックスの最高峰版、みたいなイメージ。

 

製法はユニークですね。

ステッチダウンに近いけど

糸のかわりに専用ホチキス。

 

ただホチキスといえども

これがはずれたのも見たことがありません。

仮に外れてもリペアはなんとかいけます。

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