元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

230 革底の靴ってなにがいいの?

こんばんわ。

靴修理人 兼 シューフィッタ― 兼

靴マニアのコマツです。

いきなり挑発的なタイトルですみません。

結論から言っちゃうと、

革底はやっぱりいい。

ものによるけど。

ということで、「もの」ってなにさ

ということを書きます。

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「もの」として

実用的じゃないけど美しいのは

婦人靴のハイエンドブランド。

たとえば

ノロ・ジミーチュウ・ルブタン

ジュゼッペザノッティ・シャネル

他多数は

ほぼほぼ革底です。

理由はふたつ。

①加工がしやすい。

これはフェラガモですが、

ソールの見事な立体感、みてください。

すごいでしょ・・

(ハーフソール貼る側としては、

一番やりたくないパターンですが・・)

この立体感、

どーやってるかっていうと

(推測ですが)

革を裁断して、水につけます。

やわらかくなったら、型にセットして

プレス。

で、乾燥機で一気に固めて

さらに硬化剤をスプレーして、

はみ出た部分を手作業でトリミングして、

フェラガモの焼き印を押して出荷。

だとおもいます。

焼き印押す人のプレッシャー、

そうとうでしょうね(笑)。

てなかんじで、めちゃくちゃ手間が

かかるんです。

もちろん、わざわざ革をつかわず

ウレタンでも型をつくればできますよ?

めちゃくちゃババくさくなりますが。

でも今ヨーロッパを中心に、

「サスティナブル」などという

気色悪い人間のエゴまるだしの風潮が

高まってるので、そのうち革という革が

なくなるかもしれません。

その前に職人が消滅するか。

あ、話がずれました。

婦人靴の革底は数回はいて欠けることも多いので

はやいうちにハーフソール貼ってください。

革底のメリット②

低ロットに柔軟に対応できる。

ウレタンで型つくって原価回収するまで

「各サイズ」数万足つくらないと

全然わりにあいません。

カラバリがふえたら当然その分も。

日本のメーカーの高いところだと

ヨシノヤ・かねまつ・ダイアナあたりは

革の原価と加工費のほうが高いので

ゴム底をつかっています。

すべってころんだら即クレームですしね・・。

婦人靴はこんな事情です。

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さて。

「もの」としての革底。

紳士靴はけっこう事情がちがってきます。

よく、

「革底は通気性がいい」

って言われますが、

あれ・・ウソじゃね?

普通に考えて、

「中底」があって、「フィラー」があって、

「本底」があるわけです。

合計で厚さが8ミリくらいはあります。

で、靴つくるときにゴムのりを使うでしょ。

クロケットとかもダイナミックに接着剤

使ってますし、

ジョンロブとかクレバリーあたりは

フィラーにコルクじゃなく

フェルトを圧縮した断熱材つかってます。

全部じゃないけど。

その時点で通気性ってないでしょ。

長い目でみると

「靴全体の通気」にはいいかもしれませんが

ダイレクトに足の蒸れを逃がすわけじゃない。

がんばってるのは「中底」の革です。

革張り中底 (表面・ヌメ革)

これは本当に汗をガンガン吸います。

ノロウイルスをも殺すタンニンなめしなので

足の臭いのバクテリア程度は

瞬殺です。

安物はパルプをつかいます。

底付けにはいりまーす。 - 靴 作って、ぼやいてます

これは臭くなります。

カビも生えるし、濡れたら腐ります。

革靴は中底が命、というのはこのこと。

たぶんですが・・既製品の中底で

一番カネかけてるのは

アメリカのアレン・エドモンズ。

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ここのメーカー、

画像では見づらいですが

なんと「中敷き」がありません。

(レッドウィングもそうですね)

紳士用半中敷 に対する画像結果

よくはがれてくる、これです。

そもそもなんで中敷きを貼るのかというと

ブランドロゴをみせたいだけでなく

ヒールを固定する釘の頭をかくすためです。

中底の質に自信があれば

釘出のトラブルもシャンクもいりません。

(レッドウィングはそもそも釘も

シャンクも必要ないので、純粋に

コスト削減のためだと思われます)

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アウトソール、

いわゆる「本底」ですが、

革底のメリットは「適度にすべる」ことです。

は?

って普通思いますよね。

バドミントンとかバスケやってる人なら

わかると思いますが、

「適度なすべり」って大事。

グリップが効きすぎると、案外ケガします。

濡れた日はアウトともいわれますが

そうでもない。

濡れたらそれなりにグリップききますし

2~3日ほっとけば勝手にかわきます。

ただ、たしかにアスファルトには弱い。

ドイツのJRソール以外は。

JRソール に対する画像結果
JRソール に対する画像結果

JRソールはほんとヤバいです。

修理してても、

「おまえは本当に革なの?」と

いつも心の中で話しかけてます。

修理用のナイフが通らないので、

JRソールを切りだす時だけは

めちゃくちゃ研いだ革包丁を使います。

この革底、

ヘタなゴム底よりは確実にもちます。

これに穴開けるまで履くって、けっこう

かかりますよ。

滑るのがこわいって方は

むしろ体重が最初にかかるヒールを

ゴムにした方が格段に効きます。

アレンや日本のスコッチグレイン

そのあたり、よくわかってつくってます。

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さあ、話がまとまらなくなってきたので、

このへんにしときます。

個人的な話ですが、

完全に風邪ひきました。

鼻水がすごいので、

リアルに鼻の穴にティッシュつめて書いてます。

熱ないんでコロナじゃないんですが、

本当に鼻水がジャマ。

くしゃみも1分に1回。

葛根湯ドーピング(KKDP)して

もう寝ます。

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【今日のおすすめの1足】

なにげにここのコーナーが

一番胸おどるんですよねーー。

家人が今

鬼滅の刃にドはまりしてます。

大正時代の雰囲気がいいんですって。

ほーーーーー。

大正時代の靴といえば?

サイドゴアブーツ。

大塚製靴:M-104 「サイドゴアブーツ」

値段:びっくり。

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   [サイドゴアブーツ/チェルシーブーツ]皇室御用達 大塚製靴/OTSUKA M-5(オーツカM-5)M5-104 サイドゴアブーツ ブラック(黒)紳士靴・革靴(メンズ/ビジネスシューズ)/グッドイヤーウェルト製法/レザーソール/半カラス/ピッチドヒール/スクエアトウ 楽天で購入

大塚のHPだと、

「明治時代につくられ、昭和天皇にも献上」

とありますが、

実際サイドゴアブーツを愛用されていたのは

大正天皇

この時代はアスファルトもなく

泥道だったし、短靴ではネンザしてケガします。

そして脱ぎはきも激しいし・・

となれば、

必然的にサイドゴアに行きついたのでしょう。

今シーズンはこれまで以上に

チェルシーブーツ=サイドゴアブーツが

流行ってますが、

じっさい歴代天皇陛下の靴をつくってきた

大塚製靴は、迫力がちがいますねーー。

けっこうサイドゴアブーツって、

 

「はくとゴム長」

になりがちです。

なので、

トウの形の美しさがすべてです。

個人的にはサイドゴアブーツの頂点は

既成靴ならばジョンロブでもウェストンでもなく

ましてやルブタンでもトムブラウンでもなく

まちがいなく大塚です。

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それではまた明日!