こんにちは。
靴修理人 兼 修理人 兼
シューフィッターのコマツです。
数日前にご来店されたお客さん(女性)。
「他のスニーカーはいいのに、
これだけカカトがスポスポ脱げるんですよ。
高かったのに・・」
というご相談がありました。
みてみると、問題のスニーカーがこれ。
ゴールデングース。
知ってる人は知ってる、
「汚し加工」が売りのベネチアのメーカー。
4万以上します(!)。
(職人がつくった~が売り文句)
見た瞬間、そりゃそうだとおもいましたよ。
全然曲がらない靴ですから。
この手の相談、多いです。
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曲がらないとなんでカカトが脱げるのか。
足の骨、みてください。
ここで曲がるでしょ。
だから、ウォーキングシューズや
ランニングシューズは、同じところで
曲がるんです。
革靴もそう。
ね。
これ、靴の中身どうなっているのかっていうと、
「中底」っていう靴の背骨みたいな
パーツがあって、こんな感じ。
オレンジの部分が猛烈に硬い。
白い部分はやわらかい。
だから、いい場所で曲がるし、カカトも
自然に食いついてくるんです。
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一方。
バスケットボールシューズは、ほとんどが
曲がりません。
走る、ジャンプする、そして
「急に止まる」。
このとき、指先が曲がると
ブレーキをかけるのに余計なエネルギーが
いります。
登山靴もそう。
つま先だけでひっかけて登る場面が多々あるので、
曲がるとネンザします。
なので、バスケットボールシューズや
登山靴の中底はこんな感じ。
わかりづらいな・・・。
いい写真がなかったんですが、
要するにどこからも曲がりません。
「1枚の板!」っていう感じです。
「え?でもオールスターって
ぐにゃぐにゃに曲がるじゃん」と思った方。
するどい。
ただ・・・オールスターは
戦前に完成してたもので、(約100年前!)
かたい中底をつくる技術がなかった。
戦後のバッシュの代表格はアディダスの
スーパースターですが、あれは曲がりません。
今のバッシュ、あるいはテニスシューズも
ぐにゃっと曲がるものはたぶんないはずです。
ケガしちゃいますからね。
実際に競技に使うならいい。
それをタウンユースにすると、
カカトが脱げる現象がおきます。
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じゃ、諦めろっていうのか!
大丈夫。
裏ワザがあります。
ただし、自己責任です。
曲がらないスニーカーは、こうやってください。
(写真は革靴ですが)
指の曲がるところで、全力で曲げます。
これだけで、カカトはかなり食いつきます。
「場所がわからん」
「力加減がわからん」
という方には、もう少しわかりやすい方法。
靴履いて、野球の「キャッチャー座り」して下さい。
あ・・・写真のは気にしないで。
カカトを浮かして、こしをおろす。
相撲のそんきょみたいな感じ。
これを10回くらいくりかえすだけでも
同じ効果があります。
この方法、革靴にもパンプスにも応用できます。
イマイチかかとが脱げるやつに、
この方法、試してください。
あ、ところで冒頭のゴールデングースの方、
「そんきょ」させるのはかわいそうだったので
私が気合一発で曲げました。
一瞬「ひい・・っ」って声がきこえましたが
曲げたやつを履いてもらったら全然OKでした。
めでたしめでたし。
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【今日のおすすめの1足】
そうはいっても脱げるものは脱げる!
というかたに。
「ナイキ フリー ラン」
12,980円。
これでもか!っていうくらい
ぐにゃんぐにゃんに曲がります。
モデルはちょっと違いますが、
ま、こんな感じ。
もともと、ナイキフリーは
「足の裏の筋肉を鍛える」ために
20年くらい前から地味に売れています。
いわゆる「ベアフットランニング」の
さきがけですね。
ちょっとソールが薄いのでランニングでは
ケガする人も多く、
通勤用のスニーカーとして買う人が多い。
なので今では売り場でひっそりと
息をひそめてますが、根強いファンもいて
今でもアップロードされながら売れ続けています。
これは・・・カカトはどーやっても脱げない。
あと、実際に足の裏の「足育」にもなるので
気になる方は試してみてください。
メンズだと、こんなのもあります。
注意。
ナイキフリーはサイズがめちゃくちゃ小さめ。
できれば、大きめのスポーツショップで
フィット感をためしてください。
普通のスニーカーより、1㎝以上大きめのサイズで
ちょうどいいという方が多い。
プラス1.5㎝なんて方もいるので、
いきなりネットはちょっと危険かも。
サイズさえわかればネットの方が全然安いので
ポチってください。
それではまた明日!