悲しいニュースが続きますが、
それでも靴ブログは書き続けます。
黙祷。
・・・・・・・・・・・・・・・
はい。
こんばんわ
こまつ@shoes_komatsuです。
今日は珍しく商談がありまして。
はじめての方に自己紹介するのに
「今はリペアやってます。
20代は革靴の設計やってました。」
と説明したんです。
すると案の定
「えっ!デザイン描いたりとかですか?」と。
うんまあそう思いますよね。
ちがいます。
私は数千パターンの靴を
「設計」はしましたが
デザインはたぶん100足くらいでした。
〇靴のデザイナーとは
デザイナーと
設計者は
ちかいけど全然ちがうんです。
それぞれのメーカーには
たいてい数名のデザイナーがいます。
フリーのかたもいらっしゃいます。
ほとんどの方は
服飾関係の専門学校卒で
あくまで二次元までの仕事。
彼ら彼女らも激務。
一日50枚とか
追い込み時期だと80枚とか
普通にデザイン画を描きますからね。
そのうち採用されるのはたった4~5足。
どんなに靴が好きでも
一日50枚のデザインを描けますか?
それをほぼ毎日ですよ?
私には無理。
世の中にすでに出回っている
クラシックな靴が美しすぎる。
・外羽根
・内羽根
・プレーントウ
・フルブローグ
・セミブローグ
・ホールカット
等々。
…ほかになにをデザインしろと?
婦人靴もデザイン画描いたことも
ありましたが
鬼才にはまったくかないませんでしたね。
スニーカーはともかく
クラシックな革靴のデザインは
超苦しいですよ。
モーツアルトやバッハがいるのに
「クラシック曲しかつくっちゃダメ」って
言われるのと一緒ですよ。
しかしその中でも
じっさいお仕事させていただいた方の中で
「すげえ・・・」と度肝抜かれた方が
ふたり。
①「ショセ」の前田洋一さん
ses amis セザミ ウイングチップ レザースニーカー SA-01 chausser ショセ メンズ 靴
chausser ショセ ナチュラルコードバン プレーントゥレースアップシューズ C-7930 cordovan メンズ 靴
当時はマッキントッシュでデザインされており
型紙をいくつか切らせていただきました。
仕様書は今でも宝物です。
今はちがうと思いますが
ほとんどのデザイナーが斜め上から
描くのに対し、
前田さんは「真横からのみ」。
しかもそれで伝わっちゃうんです。
どこにでもありそうなのに
絶対どこにもない靴。
製法も
・グッド
・マッケイ
・プラット
・バルカナイズ
を駆使して
(この人の頭はどうなってるんだろう・・)と
いっつも思ってました。
しかもメンズもレディースも描くし
サンダルからロングブーツまで。
ウェスタンブーツは一番ビビりましたね。。。
もうひとかた。
②ブルーノ・ボルテーゼさん。
ブログ406からセルフコピペ。
・イタリア人のおっさん(もはや初老)
・デザイナーとして天才
・誰の真似もしない
・一時期「C.Clone」名義でリーガルから
バナナラストで日本上陸目指すも不発!
モノは確実によかった!
・ドクターマーチンをリスペクトしてる
・映画「マトリックス」の衣装(靴)の仕事をしたが
契約面で騙されてファッキン
・コマツと20年くらい前表参道でオールした
今のところ
日本では販売されていないようなので
HP貼っておきます。
いや────────────
この人も強烈でした。
基本パンクなんですが
教養もありクラシックな技法にも精通しており
要はYOSHIKIでしたね。
ドラムがあったら即破壊していたでしょう。
この人には
絶対ちがう世界が見えてます。
しかも靴に特化した。
ああそうだ・・・・
サンプル靴を2足パクりましたが
(いつものことです)
めちゃくちゃ履き心地良かったです!
バナナラストすげえ!と思って
NBに目覚めましたね。
はじめて買ったのが574。
裏面みたらわかるでしょ。
バナナみたいに
強引な内振りなんです。
それがいい。
〇私は何をしてたのか
ひたすらデザイナーさんが描いた
「二次元」の絵を
「三次元」の型紙に起こすのがメインでした。
ここの壁は意外と面白かったですね。
絵はキレイでも
どうしても無理なデザインはあるんですよ。
それを「きちんと」サンプルにして
デザイナーさんと
大爆笑したことが何度もありましたw
しかしその度にデザイナーさんも修正してくる。
木型との相性もあるので
「フルブローグ」がいきなり
「ホールカット」になったこともありました。
(売れました)
しかしまあ・・・・
どのデザイナーさんも
本当に苦しんでましたね。
ブルーノさん以外。
やっぱ描けば描くほど
(なんかのパクリじゃないか?)って
疑心暗鬼になるんですって。
音楽の世界と同じですね。
ちなみに私が20年前にタイムスリップしたら
自分にカラシニコフを突き付けて
「これをつくれ・・・DBRと黒の2足だ」と
躊躇なく命令しますね。
ちっ。
本題終了。
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【今日のおすすめの1足】
宮城興業の
「ホールカット」。
27500円は正気か?
アッパーは「キップ」って書いてますが
私のなかでは全然「カーフ」なんですよね・・。
まずサイズ感ですが
スコッチグレインとほぼ一緒。
私でしたらスコッチが25.5。
宮城なら41。
ふだんはNBもホカオネも
28㎝履いてます。
つーかこの色気。
エロい。
犯罪。
言いかた悪いですが・・・
これ「クロケットです」って言えば
普通に10万で売れますよw?
ホールカットって
サイズさえあえば
どこにも当たりません。
パーツの断面がないんだから
当然です。
ぶっちゃけ型紙つくるのも簡単。
1回目だけはね。
あとは革の伸びしろと
木型との相性とで
サンプルは5回はつくりますねw
そして大量生産になると
裁断までは良かったのに
つりこんだ瞬間に出現する
「虫食い」と「血筋」。。。。。
もうこれでロスです。
片足が良くてもね。
だいたい赤字です。
もっともロスが多いデザインなので
多くのメーカーがやりたがらないのは
ひとえにこれ。
宮城さんはすごいですよ・・・
すごいなんてもんじゃないですよ。
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それではまた明日!
※バーは明日から!