おつかれさまです
シューフィッターこまつ@shoes_komatsuです。
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超絶マニアックな話でいきますか。
革靴を格安でつくる方法。
靴設計やってたときの裏話です。
念のためですが、私がこの数年内に携わった
全ての革靴はこの技、使ってません。
まっとうに出来ています。
もうひとつ、クラシックシューズにかぎります。
冠婚葬祭とか面接とかで
バキっと決めるときの靴の話です。
カジュアルシューズにはあてはまりません。
ビジネスカジュアルも同じ。
履き心地が優先なので。
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一般の方は見抜けないとは思いますが
これをやっていない革靴というのが
しっかりできている靴、とも言えます。
しかしたとえ3~4万で、しかも
全国に知られるような有名どころでも
詐欺靴、今でも全然あります。
なんでこんな詐欺みたいなことをするのか?
理由はひとつ。
依頼主の指定するコストです。
依頼主は百貨店だったり靴メーカーだったり
中抜きで成り立っている
アパレルメーカーだったりします。
「下代500円で革靴つくってください。
あ、もちろん天然革表記でお願いします」
と言ってきた
超・超大手の全国展開で有名な
(自主規制)なんかが有名ですね!
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手法①:
革の中に合皮を混ぜる
JISの規定だとざっくりですが全体の
「消費者が混同しない程度」・・
つまり半分~1/3くらいに革をつかっていれば
「この靴は天然革をつかっています」と
明記していいんです。
このへんかなりグレーな部分も
あるんですけどね。
完全にひとりごとですが
そもそもJISってザルなんです。
内部告発とか、なんかの不良が発覚して
消費者からクレームがこないかぎり
今でもこれやってるメーカー、あるはずですよ。
このブログというか勝手に私がこきおろしている
「流れモカ」「スワールモカ」ってデザインが
あるでしょう。
あのデザイン、
合皮と革を混ぜるのにうってつけです。
完全に例ですが、
こんな靴よくみかけるでしょう?
このデザイン、やりやすいですね。
青く囲った部分だけが天然革、
ほかはすべて合皮だったとします。
これで「この靴は天然革でできています」を
名乗っちゃっていいんです。
いや良くないんだけど。
私が設計を担当していた20数年の話ですが
今調べた限り変わってませんね。
スワールのデザインだからできるワザ。
しかしこの手法、Uチップでは違和感があり、
プレーンやストレートチップだと
素人でも「?」と感じるはずなので
そういう意味でもこのデザインは要注意!
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手法②:
中底に粗悪品を使いながら
「全敷き」で隠してしまう
通常3~4万円の革靴って
直接足の当たる「中底」って
牛の肩の革を使います。
中底が革だと丈夫だしパーツもはがれづらいし
なんせ汗を吸います。
両足で500円くらい。
これを圧縮パルプ・・と言えば聞こえはいいですが
紙で作ることもできちゃうんです。
かの国では〇〇ボード、とかって
それらしい名前で流通していますが、紙です。
両足で30円以下。
蒸れるしカビ生えるし
圧倒的にくさくなります・・。
そもそも足あたりが悪いので
これがむき出しだと売れません。
上から合皮の全敷き(インソール)で
隠してしまえば、ほぼ完全犯罪です。
なかなかはがれません!
こんなふうに────。
逆に、
本格革靴の中をのぞいたときに
インソールが半分(半敷き)なら
まあまあ安心してください。
これは革。
紙も革も、新品だと
なかなか見分けつきづらいです。
そもそも靴の中の先端ですし。
中敷きの大きさが一番のヒント。
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手法③:
独立したヒールではなく
全部つながった「ユニットソール」
わかりづらいので写真で解説しましょう。
まともな3~4万の靴だと
「ソール」と「ヒール」で
わかれています。
この3つで1セット。
分けることで、ヒールのピッチ(傾き)の調整や
リペアするときもラクなんです。
ちなみにこのゴムの素材は
イギリスの名門・ハルボロラバー社の
「ダイナイト」ソール&ヒール。
このようにきっちり刻印されてます。
しかし見た目がそっくりでも
全部つながってるのが
「ユニットソール」。
この底、全部つながってるのが
わかるでしょうか。
しかも説明もひどい。
まんま貼ります。
イタリア製のダイナイトソールって
いつ誕生したんだ?
もうこの説明がすべて物語ってるでしょう・・。
ユニットソールだと靴つくるときに
「貼って終了」なので
手間賃がひとケタ安く済みます。
ユニットソールがダメ、と言ってるわけじゃなく
安く済む構造なのに
それが3~4万で売られてることがヤバいんです。
このつくりだと相場は1万前後。
カジュアルとかコンフォートシューズなら
この技はアリです。
軽いし歩きやすいしリペアもしやすい。
しかしビジネスシューズでこのソールだと
どっか安っぽいし
あとからトラブルしかないんです。
ユニットソールだとつくるのはラクですが
つまさきだけとか、カカトだけとか
どっかはがれ始めたら全部はがれます。
カカトがカタカタぐらいついていても
微調節ができません。
リペアもかなりやりづらい。
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うん、これ以上書くと
ひさびさに頼んでないピザが届けられますね。
今私の目の前のパソコンの画面に
冒頭の「下代500円で革靴つくってください」の
靴が映ってるんですが・・
完全にビジネスシューズですが
①②③全部やってますね笑
これで4万円か──────!
気をつけましょう!
本題終了。
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【今日のおすすめの1足】
リーガル「61FL」。
26,400円。
BASSそっくりですが
お値段はBASS以下、クオリティは倍。
リアルマッケイ、
アンライニング、
独立ヒールの中は空洞。
大人ローファーでなかなかこれを超える品、
ないはずです。
リアルマッケイなのにビブラムの面は
セメントなので、部分修理もオールソールも
めっちゃラク。
本体を縫い直す必要がないので
相当長持ちするはずです!
※過去ご紹介した靴はこちらにまとめてあります。
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【おしらせ】
全然本題と関係ありませんが
YouTube、更新してます。
見てね!
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それではまた明日!