シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

2043「セメント製法はダメ」なんて誰が決めた!?靴修理15年の現場から反論します


おつかれさまです

シューフィッター佐藤靖青です。

 

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・・

 

革靴について。

定期的に目に入るこういう記事を見て

げんなりしています。

 

・セメント製法の寿命は1~2年

・マッケイはマシ

・グッドイヤーは7~10年持つ

いい加減にしてくれ!

教科書通りといえばその通りですが

テキトーに革靴の本を読んでまとめれば

こうもなるでしょう。

 

靴修理15年やってましたが

この記事とは全く逆で

・セメントが一番直しやすい

・マッケイも余裕で7~10年持つ

・グッドは持つが維持費は超高い

個人的にはこんな感じ。

 

靴修理の現場に立ってる人間なら

全員じゃなくてもこう考える人

けっこう多いはず。

 

結局「買った価格」に対して

どこまでリペア代=維持費をかけられるか、

っていう問題なんです。

 

今日はセメント製法の靴の良さを

わたくしはしっかりと主張していきたい!

バーン!(机をたたく音)

 

・・

 

セメント製法は本体と底を

接着剤でくっつけただけ、は

事実っちゃ事実です。

 

ただ!ここ10年くらいの接着剤を舐めるな。

くっつけた「だけ」じゃない、

寸分たがわずくっつけるのも職人技!

 

GUの3~4000円の革靴がありますよね。

私も葬式用に履いてるやつです。

あれもくっつけた「だけ」のセメント製法。

 

価格だけで言えばセメント靴の中でも

最下層と言えるでしょう。

 

しかしこれ買って履いてる人で

1~2年で底はがれた人いる?

これ底はがすの、至難の技ですよ。

 

テクシーリュクスもホーキンスも

セメント製法ですが、ほぼはがれません。

じゃないと防水靴つくれないじゃないですか。

 

たしかにリペア時代、セメント靴で

底が剥がれたケースはよくありました。

とくに灼熱のこの時期。

 

スニーカーは確かに一度剥がれると

まず直りません。

底が劣化してるか、立体的に本体に巻き上がっていて

靴の曲がりに耐えきれません。

(※ただしソールスワップという技もあります)

ここまでは事実。

 

しかし革靴・パンプスであれば

7~8割はしっかりくっつきます。

 

靴底はがれの再接着なら

一か所で500~1000円くらい。

べろん、ってはがれても時間はもらいますが

両足1000~2000円くらいでくっつけます。

 

くっつかなければオールソール。

靴底の全とりかえですね。

セメント製法でも全然できます。

 

意外に知られてませんが

パンプスも底の全とりかえ、できるんです。

メーカーでは断られるかもしれませんが。

 

修理代がゴム・スポンジで

トータル1万円前後。

 

この価格を出せるかどうか、

本体が持つかどうかですが、逆に言えば

1万円前後出せるなら

セメント靴でも余裕で5年以上履けます。

 

具体的・個人的な例だと

ハッシュパピーは多かったですね。

これもステッチは実はダミーで

セメント製法です。

大塚がパテント生産をやめてから

リペアも断られ、みたいなケースでしたが

両足1万(たぶん今では1万5千円くらい)で

よくオールソールしてました。

 

ハッシュパピーばかり5~6足を

ローテで履かれてる常連のお客様がいましたが

どれも余裕で10年近く履かれてましたね。

 

パンプスのオールソールも多かったです。

デザインがワンシーズンで変わるじゃないですか。

とくに海外だと100%オールソールは

買ったショップでは断られます。

フェラガモのド定番。

セメント製法です。

 

剥がして型取りして貼って

ヒールを固定して終了。

両足1万~15000円で余裕で直ります。

 

フェラガモ・シャネルあたりは

ハーフソールで諦める方が謎に多いんですが

「オールソールできますよ」と答えると

めっちゃ驚かれましたね。

 

これもセメント製法=直らない、みたいな

よくわからん世間の風評を

真に受けた結果です。

 

「捨てなきゃ良かった」と何度言われたか

わかりません。

ブランドマークはなくなりますが

世のほとんどのパンプスは、直るんです。

 

・・

 

セメント製法の延長で

マッケイ製法も余裕で直るんですよ。

冒頭の記事では

マッケイ製法の寿命は約2〜6年

マッケイ製法は、靴のアッパーと靴底を直接縫い合わせる方法で作られます。縫い目が靴の内側にも見えるのが特徴で、比較的軽く、足馴染みが良い履き心地になります。

ただし、直接縫い付けているので修理可能な回数に限界があります。修理できる回数はソール交換が1〜3回程度で、それ以上は靴底がダメージを受けてしまい、交換が難しくなります。毎日のように履いているとソールの減りが早くなり、寿命はおよそ2〜6年程度となります。

とか書かれてますが

これが典型的なコタツ記事!

 

直接縫い付けているので修理可能な回数に限界があります

はいこれもうウソ!

メーカー修理だとバカ正直に縫い直すんでしょうが

個人的にはマッケイ→マッケイセメントを

お客様にはいつも提案してました。

 

マッケイセメントとは。

 

本体と底を直接縫うんではなく

あいだに5ミリくらいの革もしくはゴムの板

(ミッドソール)をはさみます。

薄いので履き心地はそこまで変わりません。

 

ミッドソールと本体を縫います。

で、肝心の底とミッドソールは

接着だけにするんです。

 

これだと次回のオールソールも縫い直さないので

本体への負担はほぼゼロ。

2回目以降は縫わないので

リペア代も安くつきます。

 

既成靴だとティンバーランドが

この製法ですね。

これもオールソールの時は

糸は切りません。

剥がして、貼って、削るだけ。

 

ラクだしキレイに仕上がるし

接着剤だけでもめちゃくちゃ付きます。

よほど華奢なドレスシューズ意外なら

革靴にももちろん応用可能。

 

こういう情報が世の中にはなかなか

出回らないから

マッケイも誤解されるんです。

 

・・

 

トドメの話ですが

冒頭の記事みたいな情報が

世の中にゴロゴロしてるので

グッドイヤーを履かねば!みたいに考える方も

多い。

 

グッドだって1度も直さずに履く人がほとんどだし

いつか書きますが

「直せないグッドイヤー」もめっちゃあります。

 

なんでもネット記事をうのみにしないで

評判のいい修理屋さんにまず

直で聞いてみてください。

選択肢、意外にありますよ。

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

定期的ですが優秀なもんは優秀。

テクシーリュクス・ゴアテックス。

11900円。

texcy luxe テクシーリュクス ビジネスシューズ メンズ GORE TEX 本革 ゴアテックス 防水 幅広 3E 4E アシックス 革靴ブラック ブラウン プレーントゥ ストレートチップ スワールモカ ダブルモンク asics

テクシーリュクス、セメント製法で

かつ完全防水。

私の記憶ではそもそも「底剥がれ」の

修理すらありません。

 

はがれないんです。

100歩譲ってはがれたとしても

360度ゴアテックスメンブレンで覆われてるので

オールソールしても水は漏ってきません。

 

ランウォークも良い靴ですが

個人的にはウィズも選びやすい

テクシーに軍配ですね。

 

 

※過去ご紹介した靴はこちらにまとめてあります。

楽天ROOM

 

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【お知らせ】

 

YouTube更新してます。

子供サンダル特集。

www.youtube.com

正直、子供靴回は視聴率取れません。

が、誰かが伝えないと犠牲になるのは

子供なので。

いいかげん負の連鎖は断ち切りましょう。

 

・ズーム相談

 

すみません、やや混みです。

受けるだけ受けてますが

いったんメッセージお送りください。

現在1週間ほど頂いてます。

足と靴の オンライン 相談

 

・ライン相談

 

こちらもやや混みです。

受けるだけ受けてますが

いったんメッセージお送りください。

現状、3日以内にはご回答できてます。

足と靴の オンライン 相談

 

 

・お買い物フルアテンド(月10名様限定)

9月のご予約、開始しました!

こちらからどうぞ!→お買い物アテンド

 

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それではまた明日!