おつかれさまです
こまつ@shoes_komatsuです。
靴の製法って多すぎるんですよ。
ググってもよくわかりそうで
意外とわからないと思うんです。
なので完全主観を含めて
私なりに解説していきますね。
それぞれにメリット・デメリットも
ありますので。
①セメント製法
②マッケイ製法
③グッドイヤーウェルテッド製法
④ステッチダウン製法
⑤インジェクション製法
⑥バルカナイズ製法
おまけ
⑦ターン製法
・・・
①セメント製法
世の中の99%の靴は
この製法です。
底と上の部分(アッパー)を
接着剤でくっつけた製法ですね。
接着剤がものすごく優秀になった今、
革靴でもパンプスでもスニーカーでも
子供靴でも高級靴でも安価な靴でも
この製法で事足ります。
わっかりやすい写真がこちら。
これをこう。
わかりやすいでしょ。
これで終了。
メリット:
手間数が少ないので製造が安価。
コスト削減につながる。
デメリット:
ほとんどなし。
はい。デメリットがほとんどないんです。
ググってセメント製法のデメリットだと
・はがれやすい
・水がしみこむ
・修理できない/しづらい
あたりが出てきたでしょう?
その情報、かなり古いです。
はがれやすいっていったら
他の靴も同じ。
縫いあげている靴も糸が切れたら
簡単にはがれます(グッド以外)。
水がしみこむも同。
ただ完全防水のゴアテックス製品でも
ほぼセメント製法ということも事実。
修理~に関してはほとんどデマに近いですね。
値段は別問題として、全然問題なくできます。
パーツでも、全とりかえでも。
完全復元が不可能なものも中にはあるよ、
っていうくらいで
正直いちゃもんに近いです。
ルブタンもほぼ100%セメント製法。
製造が安価にできる、っていうのと
手抜きができるのは全くの別問題。
セメント製法は逆に
「くっつけたら修正不可」なので
震えるほど緊張する場面、
製造でもリペアでもめちゃくちゃあります。
②マッケイ製法
セメント製法を糸で縫ったら
マッケイ製法です。
構造がこうで・・・
マシーンはこういうの。
靴本体とソールをぶち抜くので
なかなかでかいです。
※間違えると手を貫通します(ガチ)
なぜ縫うのか?
「昔は」はがれたからです。
今でも縫うことはありますが
万が一にもはがれないように
「念のため」っていう
保険の意味合いが大きいですね。
逆手にとって
袋モカシンとか「めっちゃ曲がる」靴とかは
念のために縫ってます。
セメント靴のオールソール(全とりかえ)
なんかでも
「念のため」縫うことはよくあります。
メーカーと全く同じ接着剤は
手に入りませんので。
接着剤ってもう企業秘密の塊です。
マシーンでのマッケイ製法は
19世紀中ごろのアメリカでの話なんで
そのころの接着剤ってたぶん
ニカワくらいしかなかったと思います。
だから縫ったんです。
ひきかえ今はどっちかっていうと
「底剥がれのクレーム防止」のための
意味合いが強いですね。
メリット:はがれづらい、革底の返りがいい、
デメリット:
コストがプラスされる、
本体とぶち抜きで縫うので水は入る、
糸が切れたら割とはがれやすい、
工場が少ない。
工場、少ないです。
国産だとそれぞれの工場に置くより
「縫い屋」さんに縫いだけオーダーすることが
ほとんどでしょう。
縫いの職人が少なくなっているので
10年後どうなってるかはわかりません。
③グッドイヤーウェルテッド製法
通称「グッドイヤー製法」
あるいは「グッド」とか言います。
これ、断面図では
ほぼわからないでしょう。
マッケイと同じく
「底剥がれをとにかく防ぐ」のが
本来の目的。
そもそもは軍靴用なので。
地味に歴史はマッケイと変わりません。
19世紀後半。
まだまだ欧米でも「靴」自体の値段が高く
何回もリペアする必要があったので
本体を痛ませずリペアできるため、
そして戦場でも絶対底剥がれを起こさないために
できた製法です。
この当時庶民はダンスコみたいな
クロッグ。
これで戦場は死にますよね・・。
といわけでグッド。
リペアしてた立場からも
マジで頑丈ですし
その割にマシーンさえあれば
リペアもしやすい。
2回縫います。
本体と「ウェルト」を縫うすくい縫いと
「ウェルト」と底を縫う出し縫い。
(リペアでは後者の1回だけ)
これもとにかく職人さんがいない・・。
もしかすると10年後は
世界中のグッドの靴を
日本でリペアする時代がくるかもです。
メリット:
リペアしやすい(ただし高い)
リペアしやすい(ただし高い)
リペアしやすい(ただし高い)
長く履くと中底の革が沈むので
(コルクが沈む説はほぼデマ)
足の形になりやすい、
底材をころころ変えられる
(革→ゴム、ゴム→革など)
中底が革なので汗を吸って清潔
(通気性がいい、というのはそれほどでも。
中底の吸湿性がそう感じさせるのでは?
接着剤も使うしゴム底もありますし・・)
デメリット:
工賃がめちゃくちゃ高い
パーツ数が多いのでめちゃくちゃ高い
職人が絶滅中
本末転倒で中底がパルプでできているものは
グッドなのに短命
・・・
あとはさくさくいきますね。
④ステッチダウン製法
アッパーを外にびろーんと出して
固定して縫います。
令和の今、特にメリットはありませんが
意外にグッド並みにタフなので
エンジニアブーツやアウトドアブーツにも
採用されています。
外にびろーんと釣りこむので
足幅の広い方には
めっちゃ優しいですね。
ただし「ステッチダウン専用の」
製造ラインというか・・
ほぼ工場単位での設備が必要です。
メリット:
足にやさしい感触を出しやすい(じっさい優しい)
ノスタルジックな感じがする
なんちゃってグッドイヤーが作れる
デメリット:
大規模な設備が必要
アッパーが裂けると修理ほぼ不可
⑤インジェクション製法
主に現代のアーミーブーツ用。
底とアッパーを「くっつける」のではなく
アッパーにいきなりソールを
「流し込んで、一体化させる」ので
底が加水分解しないかぎり
はがすこと自体がほぼ不可能。
これは自衛隊のですが
各国のアーミーブーツも
たぶんもれなくこれでしょう。
メリット:
加水分解するまで底剥がれがない
型さえ作ってしまえば(超高額ですが)
大量生産がめっちゃラク
デメリット:
超大規模施設が必要
金型を作っても元が取れなければ
コストがやばい=小ロットは不可!
修理も基本不可
つーかバラせない
きりがないのでこれでラストにします
⑦バルカナイズ製法
コンバースです。
VANSです。
学校の上履きです。
ゴムのパーツは意外にも手作業(!)で
ひとつひとつ貼り付けて・・
100度の窯で1時間焼きます。
焼くんです。
ゴムの中に硫黄が入っていて
化学変化させることで
はがれづらくします。
メリット:
はがれづらい
他の製法に出せない味がある
柔らかいゴム底どんとこい
デメリット:
大規模施設(というか工場単位)が必要
小ロット生産不可
リペアはしづらい
当たり前だがゴム底しか不可
こんなところですかね。
ここまで紹介しても、
基本セメント製法で99%は事足りるんです。
その副作用でその他の職人さんが
めっちゃ減ってます。
今はグッドで作ってるメーカーが
とつぜん「やーめた」と言っても
まったく驚きません。
あとあれだ・・・
グッドもマッケイもステッチダウンも
単独ってことはまずありません。
ほとんどがグッド+セメント、
マッケイ+セメント、
ステッチダウン+セメントみたいな感じで
足し算してます。
だからこそできるデザインもあるし
できないはずのリペアが
じつはグッドよりやりやすかったりします。
ダナーとかは典型ですね。
本題終了!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
【今日のおすすめの1足】
春です。
レペット気になってるんなら
たぶん今が底値です!
レペット「ジャズ」。
11000円(!)。
これでも一応
ダンス用なんですよね。
本題に出なかった
「ターン製法」です。
歴史は一番古い。
中底と本体を裏返して縫う。
ひっくり返す。
底をくっつける。
これが「ターン製法」。
ここからハンドソーンウェルテッドが派生し
グッドが派生し
グッドが面倒!ってことで
今あなたも私も履いてる
セメント製法があるんです。
メリット:
とにかく軽い、柔らかい
芯が入ってないので足あたりが極上
おしゃれ
リペアも可能
デメリット:
長く歩くと疲れる
厚底がいくら流行っていても
レペットはなくなりません。
GUがオマージュする靴は
ことごとくオリジナルが優秀です。
ただし絶対値上げしてくるでしょう。
正直この値段も本来おかしい。
パンプス代わりのヘビーユーザーも
去年・おととしから急増してます。
ソックス状なので
外反母趾・巻き爪等
足にトラブルがある方にもおすすめ!
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最後、いつもの告知です。
いつものフィッティング会、
1月のご予約状況、更新します。
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