毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1616 「革」って─────何かね。

 

おつかれさまです

こまつhttps://lin.ee/CK9Z29Uです。

 

たまには革について書きましょう。

マニアックな話ではありません。

実体験ベースでの話です。

 

3月からようやくJISも厳しくなり

国内でも「〇〇レザー」と名が付くものは

すべて動物由来に関するものだけ、となりました。

Image

 

リンゴの皮由来とか

キノコの繊維由来とか

レザーって名乗っちゃだめだよ、ってことです。

 

「リンゴ由来なんて聞いたことねーや」

と思うでしょう?

地味に年々多くなってきたんです。

だから規制が厳しくなったんです。

 

レザー=革=動物からとれたもの。

 

当たり前です。

 

この当たり前が全然守られてなかった。

なんなら合皮もレザーでしたから。

 

「シンセティックレザー」

「エコレザー」

「リサイクルレザー」

あたりはギリ見たことある方も

いらっしゃるかと。

 

このへん

「リンゴ100%ジュース!」と

「リンゴエキス配合ジュース!」

くらいの差があります。

 

とにかくみためはそっくりでも

革とは似ても似つかない。

 

・・・

 

革と合皮ってなにがちがうの、って話ですが

実体験ベースだと

メンテすると復活するのが革、でしょうか。

 

靴、ぶつけますよね。

 

ひっかきキズとか擦れキズでも

磨けば復活します。

この程度には。

 

 

 

ぶっちゃけこれが

天然革の一番いいところです。

 

傷だらけの靴でも

一度だまされたと思って

磨き屋さんで磨いてもらってください。

 

「だまされた!」って思うかもしれませんが笑

黒とかダークブラウンでしたら

ほぼ上の写真程度には復活します。

 

合皮にはムリ。

合皮の場合、キズがついたら

100%なにもできません。

 

それに○○レザーとか

リサイクルレザーも含めて

合皮はやっぱ圧倒的に蒸れますね・・。

 

足にソックスを履くのか

サランラップをまいてるか程度には

差があります。

 

合皮の靴の蒸れ具合はハンパないっす。

私も中学生の時に上靴で

「合皮100%」の靴を短期間はいてましたが

あまりの蒸れっぷりがトラウマになってます。

 

「革は蒸れない」は盛った話というか

限定的な話ですが

足の汗を吸収+じわっと放出してくれるのは

まちがいありません。

 

シカ革なんかは「ほんとにこれ革か?」くらいには

すーすー風を通します。

かなり肉厚なんですけどね・・。

 

・・・

 

完全に私の個人的考えなんですが

「本革」

って表現が諸悪の根源なんじゃないかと。

 

本革ってなに?

 

「本当の革」なのはうっすら伝わりますが

ここめんどくさくても、たとえば

「牛のオイルレザー」とか

「豚の素上げ革」くらいには

分類表示したほうがいい。

 

素人のかたに

「それってどういう意味ですか?」と

質問されるくらいには

細かく分類したほうがいいって絶対。

 

じゃなきゃ革の意味がない。

 

寿司もマグロなのかサーモンなのか

カルフォルニア巻き(好きです)なのか

本当のカニなのか

カニカマ巻きなのかで全部ちがうじゃないですか。

 

「SUSHI」

 

だけとしか書かれてない寿司屋って

ちょっと怖いですよね。

同じことです。

 

ヌメ革とオイルレザーと

ベビーカーフとコードバンとでは

なにもかもがちがうんですよ。

 

ずいぶん前の実体験ですが

当時ちょっといい感じの本格革靴を

予算3万くらいで買おうかなと思った時があって。

 

当時の私には、でかかったです3万円。

 

まだ靴製造にかかわる前だったんで

それなりに机上の勉強をするわけですよ。

(カーフとキップは本当にちがうのか・・?

オイルレザーの方が実用的か・・・?

ライニングも豚と馬ってなにかちがうのか・・?)

とかね。

 

とある百貨店でいい感じの3万オーバーの靴を見て

じ────────────っと見てたわけです。

そこにショップの店員さんが。

 

シ「こちらの靴が気に入られましたか?」

こ「いや・・まだ迷ってるんですけど」

シ「なんでもお聞きください」

 

私が迷ってたのはカーフなのかキップなのか

わからなかったんですよね。

クロケットだったんでカーフに決まってるんですが。

 

(でもここで「カーフですか?キップですか?」て

オタク感丸出しだしなあ・・聞きづらいなあ・・・)

悶々と30秒くらい悩んでたんですが

思い切って聞いたんですよね。

 

こ「素材は何ですか?」

(さあ・・カーフか・・キップか・・

まさかのステアだったら俺見る目ないなあ・・・

ドキドキドキドキドキドキドキドキ)

 

それ聞いた店員さんが

私の気のせいか

少しあきれた表情だったんですよね。

 

で、その表情のままひとこと

「革です。」

 

いや、ほんとに殴り〇そうと思いましたよ。

瞬間血圧200振り切ってましたね。

そのへんの靴屋じゃなく

ここは一流百貨店だろおおおお?

 

無言で立ち去りました。

 

その足でロイドフットウェアで

チーニー製のUチップが

29000円で買えたときは本当に良かった。

 

こ「素材は何ですか?」

ロ「キップ寄りのカーフです。

カーフキップとも呼びますが、

厳密なボーダーはないんですよ」

 

圧倒的説得力。

これが・・プロ・・!

 

・・・

 

長くなりますが知ったことではない。

 

本革と同じくらいややこしいのが

「ナッパ」。

 

革製の手袋とかバッグに使われるイメージで

ヤギ・羊の原皮を2回くらいなめして

まあ、もうめっちゃくちゃにお高くて

原皮も小さい革です。

 

トラブルは靴製造の現場で起きました。

 

相手はとある有名メーカー。

 

メ「次の靴、ナッパでつくってください」

こ「ナ・・・ナッパ・・ですか・・・?」

メ「ナッパです」

こ「原価3倍くらいになりますが」

メ「そんなわけないでしょう!」

 

いきなり激おこモードされまして。

 

びっくりしたのはこちらです。

それまでの牛の「ステア」

(超ざっくりですが、大人牛の革)

から、革代だけで3倍マシですから。

 

というかナッパで靴なんて

マシーンの力に耐えられるのか?

裂けるか伸びすぎるんじゃないのか?

 

ちがいました。

 

メ「だからこういう靴、つくれるでしょう!?」

 

差し出されたサンプル靴。

 

いやー・・それって普通の

オイルレザーの牛革では?

製品の画像

(※イメージです)

 

メ「こういう!しっとり感が欲しいんですよ!」

 

出た!「しっとりした革」!

 

しっとりした革=ナッパじゃないでしょうに。

結局はステアよりもっと安い

大人牛のオイルレザーで靴はつくられたんですが

靴業界の人間がこれでは・・と

痛感した出来事でした。

 

じっさいグレーなショップだと

「しっとりしたいい革でしょう」なんて

美辞麗句、

どっかで聞いたことありません?

 

やっすい革でも、オイルを食わせれば

いくらでも「しっとり感」は出せます。

しかし夏場はべたつくし

冬はカチカチになります・・。

 

本物のナッパは真逆で

夏でもかなり風通しがよく

冬はあったかい。

 

 

こんなことがあるから

革についてはしつこいくらい書かないと

値段の差とか機能が伝わらないんです。

もう「本革」でひとくくりはやめましょう。

 

 

長くなりましたが

本題終了!

 

・・・・・・・・・・・・・

 

【今日のおすすめの1足】

 

設計の現役時代

革の特性・質感・正確性に

こだわっていた上位3位には

確実に入ります。

ラボキゴシ・「SAYA」。

 

SAYA「ラウンドトウミュール」。

11550円。

22秋冬新Saya【本革】ラウンドトゥミュール/サヤ(SAYA)

22秋冬新Saya【本革】ラウンドトゥミュール/サヤ(SAYA)

Saya【本革】ラウンドトゥミュール/サヤ(SAYA)

 

ネットでの紹介に

「本革」って書いてあるのは

納得できませんが笑

革はこだわってます。

 

ほんとこだわるんですよねえ・・

ロットとかシーズンで分かれますが

ただの黒・茶じゃないんですよ。

 

使えば使うほど下地の色が見えてきて

いい感じで色化けしていく

不思議な革を使います。

 

ステア(大人牛)ならではの

肉厚感を生かした

「切りっぱなし」処理のエッジも

めっちゃいい雰囲気です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

【おしらせ】

 

6月のフィッティング会、

回数少なくて申し訳ありませんが

こちらの枠が空いています。

 

7日(金) 満席

9日( 13時 14時 15時 16時

16日( 11時 12時 13時 14時 15時 16時

 

フィッティング会では

・2枠以上連続ご予約

・スニーカー・紳士靴・シニア靴・子供靴限定

という条件つきではありますが、

私がショップまでお客様と一緒にうかがって

お靴を選ぶ、というサービスもやってます。

話が早くて好評です!→ 新宿プチアテンド

 

お申込み方法は簡単:

ホームページの「お問い合わせ」に

お問い合わせ 

・お名前

・希望日とお時間

・メモ程度でいいので

 ざっくりした相談内容

をお書きください。

 

お振込み先をご返信いたします

 

ご予約から2~3日を目安に

お振込みをお願いいたします

 

ご入金が確認できた時点で

こちらから確認メールをさせいていただきます

 

以上!

 

ご予約は公式ラインからも便利です。

チャット機能でもご予約可能。

https://lin.ee/CK9Z29U

 

公式ラインのチャット欄も

めっちゃ気軽に利用しちゃってください。

キーボードのマークをタップすると

すぐ文章が打ち込めます。

 

・ズーム相談はかわらず年中

受け付けています。

40分・6600円でモニター越しですが

マンツーマンでお足の特徴・合うお靴の

ご相談に乗ります。

 

受け付けは①HP→メール相談

もしくは②公式ラインのチャットにて。

 

・あんまりしゃべるのが得意ではない方には

こちらがおすすめ。

メール相談/ライン相談。

1回5500円で文字数の制限はありません。

メール→メール相談

ライン→https://lin.ee/CK9Z29U

 

・お買い物フルアテンドは

こちらからどうぞ!→訪問サービス 

 

・・

 

それではまた明日!