シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1769 新定番モデルはこれ!クラークスの買うべきモデル厳選

 

おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

ニューバランスほどではありませんが

私を含めるアラフィフにとって

「クラークス」もはずせません。

 

クラークスもわかりづらいブランドなんで

解説します。

 

クラークス、イギリス発祥の

基本はガチンコの革靴メーカーですが

かなり変わってます。

 

1825年にイングランドで創業。

革スリッパからはじまり

本格革靴で売れ始めます。

 

ところで1800年代後半~1900年代中盤までって

イギリスの革靴といえばもれなく

グッドイヤーウェルテッド製法なんです。

戦争もありましたし。

 

硬くて重い。

そのかわり大量生産が可能と

底剥がれの心配がなく、

リペアも相当な程度まで可能。

 

20世紀前半まで、イギリスといえども

革靴は超高級品だったので

庶民から政治家までリペアするのは当たり前。

 

フィットするとかは二の次で、

長持ちこそ正義だったんです。

親子二代でリペアしながら同じ靴を履く、

今では考えにくいこともザラでした。

 

ちゃぶ台をひっくり返したのが

クラークスなんです。

 

正確には4代目のネーサン・クラーク氏が

デザートブーツで革命を起こしたんです。

戦後、という時代背景もあったんでしょう。

 

https://media.aws.locondo.jp/clarksstatic/common/img/banner/about-us/history/1950-img-pc.jpg

1950年にデザートブーツ発売。

 

・重い→軽いほうがいい

・硬い→やわらかい方がいいでしょ

・痛い→ダメでしょ

 

ということでデザートブーツ。

https://sc3.locondo.jp/contents/commodity_image/CL/CL915BM14159_4_l.jpg

砂漠での戦闘に使われていたのがウリですが

とにかくそれまでの革靴の常識を

ひっくり返したんですよね。

 

・革底→天然ゴムの底

・とにかく痛くないアッパー

・軽いけどはがれないステッチダウン製法

 

公式発表だと現在までに

全世界で1500万足が売れたそうです。

あ、そのうち2足は私です笑

 

歴史はこんなもんにしておいて

現在のラインナップでよさげなものと

NGなもの、完全主観で紹介します。

 

・・・

 

①デザートブーツ

 

オリジナルのはやめときましょう。

元リペアやってた身として、

もう修理ができませんので。

 

生ゴムが手に入らないんです。

それに重いし、夏場は地面にくっつくし。

製法的にソールを生ゴムからほかの材料に

変更することも不可能です。

 

買うなら必ず現代のアップデート版を。

 

デザートブーツ・ゴアテックス

34,100円。

https://sc3.locondo.jp/contents/commodity_image/CL/CL915BM016571_16_l.jpg

CLARKS クラークス Desert BT GTX デザートブーツ ゴアテックス 26177858 サンド スエード メンズ

 

カジュアルシーンには欠かせないし

なんせ痛くなりません、デザートブーツ。

 

3万越えでも個人的には推しです。

服を考えなくて済むんですよね・・。

なんせ革がまだスエードの最高峰、

チャールズ・F・ステッド社のはず。

 

革屋がガンガン廃業している時代です。

チャールズ・F・ステッドのスエード、

なにはともあれタフです!

私はデザートブーツ、5年かそれ以上使いましたが

アッパーは最後まで無傷でした。

 

デザートブーツのオリジナルの欠点を

見事に全部解決してます。

 

ステッチダウンは予想以上に水が漏る。

生ゴムは砂利とかゴミがくっつく。

 

それをゴアテックスにして雨漏りは解消、

生ゴム→ビブラムのスポンジソールにすることで

リペアもできるし、軽くなってます。

 

どうでもいいんですが、

若者よ・・・デザートブーツを選ぶとはシブいが

このパーツは外した方がいいと思うよ。

 

この革パーツ、何のためにあるかって?

 

知らん!

 

本来はこの革切れを使って

クリームとの相性を試したりするんですが

なんせカラーが淡いんで補色しようがない。

 

これブラブラさせながら歩いてるのって

かなり恥ずかしいです。

買ったら速攻で捨てましょう。

 

・・

 

②ワラビーEVO

16800円。

https://shop.r10s.jp/suzuchu-footwear/cabinet/03342204/11315597/26177832-100.jpg

https://shop.r10s.jp/suzuchu-footwear/cabinet/03342204/11315597/26177832-400.jpg

【クリアランスセール!!】 クラークス ワラビーエヴォ ウォータープルーフ ブラックレザー Clarks Wallabee EVO WP 26177832

 

正直、買うのはこれだけでいいです。

 

このブログの文章も長いんですが

ここまで書かないとこの靴の良さが

絶対伝わらないので・・。

 

・アッパーが黒のスムースレザー

→ビジネスシーンでも使える

・底はビブラムではなく自社のゴム底

→圧倒的コスパ削減、街中の修理屋でリペアも可能

・ウォータープルーフ

→ゴアテックスまでのこだわりはなし、

 生活防水であればOK

 

いいことしかないんです。

 

定価でも22,000円。

ゴアテックス版より1万円安い。

 

底はビブラムではなく、PVCという

プラスチック系の合成ゴムですが

ヒールだけでもソール全体でも

実はリペアが可能です(黒のみ)。

 

なんせ1年前、あのGUが

形を完全コピーしてるんです。

https://image.uniqlo.com/GU/ST3/jp/imagesgoods/346447/item/jpgoods_09_346447_3x4.jpg?width=400

リアルモカシンでもなくライニングが合皮だったので

当時は4000円くらいでしたが、

愛用者まだ多いでしょう。

 

本家のクラークスのワラビーEVOは

インソールも抜けます。

外反母趾・足底筋膜炎・各種おなやみなら

専門のインソールに入れ替えることも可能。

 

ワラビー、オリジナルのクレープ底を

2年ほど履いていたことが私もありますが

https://sc3.locondo.jp/contents/commodity_image/CL/CL915BM14077_5_l.jpg

履き心地ヤバかったですね。

完全に革のソックスでした。

 

手放したのは、オリジナルの方は

・「ちょっとの小雨」でも容赦なく雨漏り

・クレープ底が滑るしとにかく減る

ということがあったので。

 

今でもオリジナルはEVOより

数千円高く(!)売られてますが

正直メリットはなにもありません。

 

・・

 

ここから先は

現代版クラークスですが

買うのは慎重にしましょう。

 

・「トーヒル」、およびチャンキーソールシリーズ

23,100円。

https://sc3.locondo.jp/contents/commodity_image/CL/CL915BW15498_1_l.jpg

売れてますし

気の利いたセレクトショップには

100%に近い確率で置いてます。

 

男性なら問題なく履きこなせますが

ご婦人には厳しいでしょう。

見た目とちがって、底かなり硬くて曲がりません。

 

加えてかなり重い。

片足400グラム超で紐穴も2穴なので

タイトにしばってもカカト脱げる方が多いはず。

 

なによりアッパーの革質は抜群にいいのに

カカト、底が減ったら一切リペアができません。

これは痛い・・。

 

予言しときますが、確実にこのソールは

より軽くて曲がりやすい素材で

コピーするメーカーが出てくるでしょう。

そのときまで待った方がベターです。

 

(※10月31日追記:ユニクロ、仕事が早い!)

https://image.uniqlo.com/UQ/ST3/AsianCommon/imagesgoods/470096/item/goods_56_470096_3x4.jpg

 

・パンプス全般

2万円前後。

https://sc3.locondo.jp/contents/commodity_image/CL/CL915BW16331_1_l.jpg

実はクラークスはパンプス、

相当昔からつくっています。

が・・・コスパは極めて悪い。

 

国産のパンプス・バレエシューズなら

カカトもソールも直ります。

なんせこの薄さ、速攻で減りますので。

 

クラークスは無理なんです。

日本の湿気・気候との相性が悪く

カカトが減る以前に底が剥がれてきます。

 

リペア時代、めっちゃ底がはがれた

クラークスパンプスが持ち込まれましたが、

ほんと接着剤が効かないんです・・。

ソールのステッチはダミー。

ただの「模様」なんです。

じっさいにこの材料を縫うと、割れます。

 

・・・

 

また長くなってしまいました。

まとめます。

 

クラークスを買うなら奇をてらったものも

逆にまったく進化してないオリジナルでもなく

定番+アルファのモデルが正解。

 

ハイテクウォーキング系・

パンプス系も日本の風土では

長持ちしません。

 

 

本題終了。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

【今日のおすすめの1足】

 

クラークス「ワラビー エデン」。

 

23,100円。

*CLARKS|WallabeeEdenLoSuedeVibram/クラークス/ワラビーエデンロースウェードビブラム/メープル#

https://shop.r10s.jp/go-on/cabinet/goq032/13287_2.jpg

https://shop.r10s.jp/go-on/cabinet/goq032/13287_3.jpg

*CLARKS|Wallabee Eden Lo Suede Vibram/ クラークス/ワラビー エデン ロー スエード ビブラム/メープル #

 

見た目と歩き心地のギャップがすごい。

ビブラムのカップソール、

HOKA並みの弾力です。

 

関節やられちゃってるけど

もうクレープ底も痛いし

クラークスでは長時間はきついという方。

あるいは健康そのものの方にも。

 

さすがにこのモデルは

ソール・ヒールのリペアは不可ですが

接地した瞬間にローリングするので

カカトを減らすことがまず難しいはず。

 

クラークスのハイテク系はNGと

さっき書いたばっかりなんですが

ソールがビブラムのシリーズだけは別。

 

履けばわかります。

異次元です!

 

 

 

※過去ご紹介した靴はこちらにまとめてあります。

シューフィッターこまつ のROOM

 

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それではまた明日!