毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

201 靴なんて使い捨て(正解)。なのになんで靴修理屋に来るお客がいるのか?お答えします。

(なんか本題を書いてたら文章長くなっちゃったので

さきに【今日のおすすめの1足】コーナーさきにやります)

【今日のおすすめの1足】

子供靴の絶対的完成形。

ナイキ・ダイナモ

生物でいうところの、サメです。

3億年前から進化しない(する必要がない)っていうね。

 

かなり前のブログでも書きましたが、

完全にして完璧。

そして安全。

足の裏だけでなく、「脚」の成長を促す。

 

シューフィッタ―の立場からみても、マジです。

書くと長くなるので、ググってください。

ガセネタ、ありません。

このかたのブログが一番きめ細かくてわかりやすい。

https://libloom.com/archives/8594

さらにつけ加えると、なにより親がラク

紐もマジックテープもなく、

「履きやすい」し「履かせやすい」。

抱っこしながら、どんな不器用な人でも

そして

どんなに子供が暴れまわってても(あるでしょ?)

「片手で」余裕で履かせられます。

なのに一度履かせると、まず脱げない。

つまり、ホールド感が完璧。

もうわけわからん。

このレベルまで来ると、

たぶん20年前の設計者はそこまで計算してないんです。

結果、いい意味で奇跡的にそうなったんです。

ちなみに、メーカー推奨ではありませんが、

ぶっちゃけ洗濯機でそのまんま洗えます。

(メーカーが推奨しないのは、「洗濯機の」ダメージを

配慮してるため)

カカトの踏みつぶし、関係ない。

もともとかかと芯が入ってないし、

それでもカカトをきっちりサポートします。

このルックスでもうすぐ20年(うわあ・・・)。

これを超える子供靴、出てこないと思います。

サイズによって3000~5000円とまちまちですが

瞬足を1年で1足買うより

あらゆる面で全然マシ。

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子供靴、なに履かせていいか迷ってるかたは

ぜひどうぞ。

クオリティのわりに、安いですよ。

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さ、本題いきましょう。

こんにちは。

靴修理人 兼 シューフィッタ― 兼

靴マニアのコマツです。

靴修理、行ったことあります?

ほとんどの方はたぶん一度もないでしょ。

でも、オワコンとはいえまだ靴修理、

なんとまだ需要あるんです。

伝わりやすいように、さきにリアルな

数字を並べます。

ざっと数字だけ申し上げますと、

コマツの現場は東京某所。

10時オープンで21時クローズ。

アフターコロナでも、

平均50人来店で、うち30人くらいが靴修理。

利益的には、準売で「靴修理だけ」で

毎日15万前後ってとこです。

原価がめちゃくちゃ安いので、

差し引いても12万以下はありません。

だいたいこれが毎日です。

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ちょっと脱線するので、

靴オンリーの方は次の点線までスキップしてください。

当然靴修理だけじゃやってけないんで、

靴修理のほかに、合鍵と腕時計の電池交換も

やってます。

最近は時計の電池交換が多くなってきましたね。

電池交換は時間的にはたいてい10分でお釣りくるので

G-SHOCKだと、防水用のパッキンの詰め替えがあるので

30分はかかります・・・でもカシオに頼むより

めちゃくちゃ丁寧にやります。個人的に好きなので)

費用も1000円ちょっとなんで、おいしい商売ではあります。

電池そのものは市販で買っても200円くらい。

業者価格だと、ソニーから買っても

100円前後ですからね。

あとは技術料です。

とはいっても、「時計好き」の人なら3分で出来るでしょう。

工具も一通りそろってるんで、副業にいかがですか?(マジ)

合鍵に至っては・・・小学生でもできます。

ギザギザのカギなら880円。1分ちょい。

つぶつぶに穴の開いてる「ディンプルキー」なら

3300円。5分くらい。

 

どっちも原価は50円前後。

小学生の方が目もいいし、

記憶力もいいのでたぶん技術は上です・・。

でもはっきりいって、仕事としては靴好きのコマツとしては

超絶につまらない。

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靴修理に話もどしましょう。

いい悪いは別として、

なんでこんなにお客さんがくるのかっていうと

理由はふたつ。

①女性のピンヒール修理

②男性の「靴みがき」。

①からいきましょうか。

この2020年でも、圧倒的に多いのが

女性のピンヒール。

だいたい1000円で、3分です。

まー・・個人の好みなんで、コマツがどうこう

言う立場ではありませんし、むしろ

ありがたいんですが、画鋲くらいの大きさの

ゴムで歩くなんて、尊敬します。

コマツが自粛期間中に

暇つぶしにとった動画ですが、

ピンヒールで歩くなんてムリだって。

意外と安定はしますが、歩くのは不可!

やせ我慢の美学ですわ。

どんなに強いゴム使っても、早い人で

半月もちません。

1か月とか3か月もったら、拍手ものです。

それでも3.11を分岐点にピンヒールは大幅に

減りました。

#KOO TOO 運動なんかもあって、

靴修理業界としては本来反対すべき立場なんですが、

そんなもんクソくらえですよ。

あ、言葉が乱れました。

ウンコ召し上がれ、ですよ。

コマツ的にはこの運動、大賛成です。

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映画の「タイタニック」、思い出してください。

ピンヒールはいうなれば

「コルセットをぎゅうぎゅうに縛った」

ドレスと一緒で、やせ我慢の美学。

時間制限ありなら、全然アリです。

そりゃキレイだもん。

でも、シューフィッタ―の立場からいえば、

ピンヒールを3時間履いたら、アフターケアとして

最低でも20時間は裸足かスニーカーで過ごしましょう。

これが理想です。

それでも。

現実は無残なもので、

1日20人はピンヒールの交換、きます。

商売だから、やりますけどねー(ため息)。

あと多いのが、新品のすべり止め加工です。

2000円で、簡単なものなら10分。

ややこしいものなら1時間。

今年は特に圧倒的に

マルジェラの足袋ブーツが多い。

1日一人は来てる気がします。

マルジェラだけでなく、マノロやルブタン、

ジミーチュウの新品が来ます。

緊張しますよ。ゴム貼るのは簡単ですが、

本体に傷つけたら即10万近くの弁償ですから。。

お客さんもネットやショップの口コミで調べるんでしょうね。

うれしいことです。

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②「男性の靴みがき」。

意外と靴みがき、みかけないでしょ?

というか、全然みないでしょ?

法律の改正に伴い、路上での靴みがきは禁止されたので

(道交法77条1項3号、119条1項12号の4)

めだたない屋内に引っ込んじゃってるんです。

羽田空港コロンブスさんの靴みがき

利用数が世界一で、腕も相当です。

第一、第二両方にあります。

https://tokyo-haneda.com/service/facilities/shoeshine.html

でも・・・遠いですよね。

もはや「靴みがきオンリー」は

腕は抜群ですが、見つけるのが難しい絶滅危惧種です。

それに、見つけたとしても

なんか「いい靴を」履いていかなきゃいけないのか?

みたいな余計なプレッシャーもありますしね。

わかります。その通りです。

そこで修理屋の出番なんです。

男女問わず、

気軽に靴みがき頼みたい方は、

「修理屋」を見つけるのが早いです。

やってないとこもあるので、一応ググってくださいね。

 

 

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本題は以上で終わりなんですが、

野郎の靴修理は面白い。

カカトだけなら15分、

高くても3千円くらい(両足)なんですが・・

 

コマツの現場には口コミなのか分りませんが

3日に一人は「重傷者」がきます。

グッドイヤー、あるいはマッケイの

「オールソール」(靴底全はりかえ)ですね。

最低、1万~2万はかかります。

でも、オリジナルより確実に品質がいいものを

使うので、リピーターが多い。

ほとんどが「メーカーに断られたけど、

アッパーが元気だからどうしても履きたい」

という切羽詰まったお客さんです。

メーカーに断られる原因としては、

①外国製

②店員に知識がない(めんどくさい)

のどっちかです。

これ、めちゃくちゃ嬉しいんですよー!

利益的にも美味しいですが、

それを抜きにしても

「もう一回パワーアップして蘇生できる!」

っていう喜びが上。

 

3日断食された猟犬が、餌を前にして解き放たれたら

たぶんこんな感じでしょう。

過程そのものは地味だし面倒なんですけどね。

革底にこだわる方なら、国産やイタリアの革も

ありますが、絶対的に推すのが

ドイツのレンデンバッハ。(通称JRソール)

じっさいコマツも何度か

自分の靴をバラして、JRに張り替えましたが・・

「革底ってこんなに強いんか!」っていうレベル。

革底って、通気性はいいけど雨に弱いし

すぐ穴があくってイメージ強いじゃないですか。

実際そうです。

それをJRソールはひっくりかえします。

通気性はいい。耐久性がヤバい。

たとえるなら・・

「ちゃらい浴衣と、ガチンコの柔道着」

くらいの差です。それがたった数千円差。

国産の革やイタリアの革底は、はっきりいってゴミです。

ちなみにメーカー修理だと、ほとんど国産の革底しか

選択肢ありません。やめた方がいい。

悪口じゃなく、得意分野があるってことです。

もし店頭で「JRソール」が選べたら、どうせ2千円くらいの

差なので、

選べるんなら絶対JRを選んでください。

めちゃくちゃ大事なんで、もう一回言います。

選べるんなら絶対JRを選んでください!!!

JRソールが選べないんなら、速攻で逃げてください。

恥ずかしながら、ショップの店員の方が知識不足って

ざらにあるので。

で。

ゴム底ならビブラム一択。

こだわる方なら

リッジウェイかダイナイトもアリですが・・

見た目はキレイですが、耐久性だと

ビブラムの半分くらいです。

しかも値段が一緒。下手するとビブラムより高い。

裏を明かせば、ビブラムの方がむしろ原価は

300円くらい安い。

win-winなんです。

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あと、ウレタンの加水分解でなければ

スニーカーのカカトも楽勝で直せます。

両足でアンダー2千円。15分。

年配のかたの

ヨネックス・アシックス・ミズノが

圧倒的に多いですねー。

直ります。

一日何度となく交わされる会話がこちら。

「上(たぶんアッパーのこと)は全然大丈夫なのにね⁉

下(たぶんソールかヒールのこと)がダメになっちゃったのよ!

なにこれ不良品⁉

どうどう。直るから。

だーまーれー!!(紅の豚より)

 

それではまた明日!