元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

119 オーダーメードの靴の話。

こんにちは。

靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアです。

今日はみなさん一度はあこがれるであろう

オーダーメードの靴のお話をします。

実はわたしも以前はつくっていました。

紳士靴のかちっとしたものから、

婦人靴のふにゃっとしたものまで。

奥さんにもフォーマル用・カジュアル用に数足つくりました。

靴をつくるのに必要な道具はいまだに一式もってますし、

木型も20㎝から28㎝まで全部そろってます。

今ではホコリをかぶってますが・・。

今は靴づくりは完全に休止してます。

なぜオーダーメードの靴をつくるのをやめたかというと、

まったくシンプルに

「わりにあわないから」

の一言です。

オーダーメードの靴って、いくらぐらいだとイメージしますか?

10万?30万?

いえ、それだと全然わりにあいません。

「原価と利益」だけならギリ10万でいけると思いますが、

「拘束される時間」がはんぱじゃない。

依頼者と話し合って、デザインきめて、足をはかって、

歩き方を観察して、木型を盛ります。

ここまでで1週間はかかります。

まるっきりほかの仕事を断って集中しても、3日はかかります。

そこから合皮で仮靴つくって、フィッティングして、

まだ木型修正して、型紙修正して、革屋にいきます。

革屋でも、革は「1足分だけ」では決して売ってくれません。

まるっと一枚買わなければいけないんです。

革を選別するときも真剣勝負です。一枚選ぶのに2時間は絶対かけます。

天然ものなので、あたりはずれが必ずあります。

きまったら革屋と値段交渉して、丸めてもらって電車で帰って、

食卓テーブルの上で革を裁断。

とばしますが、そのあと縫製・つりこみ・底付け・仕上げ、

最後に納品して集金するまでを全部ひとりでやります。

1か月~3か月は拘束されます。

時給に換算すると、1か月で完成させた靴なら30万+原価。

3か月かかった靴なら90万+原価がかかります。

これでやっと相応の利益がでます。

でも、そんな靴、だれも買わないですよね。

なので、結局は10万以上いただいたことはありません。

めちゃくちゃ損してます。

オーダーメードをやめてる理由はほかにもあります。

長くなるので明日へつづきます。