元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

183  実は雨の日ほどスエードがいいって話。

「・・雨の日はゴム長靴でいいよね・・。」

たしかに!

おっと。

ブログが1行で終了しちゃうところだった。

ちがう

そういうことじゃなくて。

ゴム長でプレゼンしたら怒られる人、

普通でしょ。

食うためには最低限の「ファッション」というか

ゴム長じゃあかんよねっていう

なんとなくのマナーがあります。

雨風が荒狂ってようが、

都会だろうが北海道だろうが、

人生を賭けたプレゼンを控えてる人、

きっといますよね。

私自身はファッショナブルとは到底言えませんが、

台風みたいな雨風の中でも

ゴム長を履きたくても履けない人、

あるいは一周まわって

こんなときこそ足元からおしゃれしたい人、

いるんですよ。

電車のってりゃ自動的にわかります。

みんな正解です。

 

 

 

「みだしなみ」っていうルール。

身だしなみって、戦争でいえば最前線ですよ。

という方むけにブログ書きます。

 

こんちわ。

靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

さきに謝っておきます。

いきなり上から目線ですが、

あなたは

「スエード」と

「ヌバック」と

「ベロア」と

「バックスキン」の

ちがいがわかりますか?

わからなくていいです!!

わからなくて健康です!

おめでとうございます!

とにかく読んで!

2分もかからないから!

(わかった人はこちらのマニアサイド。

革にとりつかれている病気です。。。)

わからなくて普通です。

こっから先は話のネタです。

とくに年配の方に多いんですが、

「バックスキン」を

「起毛革」と勘違いしてるかたが多い。

・・・・・・・・・・・・・・・

「バックスキン」は

buckskin で、

「シカの革」の意味です。

とはいえ今、鹿の革で革製品なんて

ほとんど見かけませんが。

コマツは3年に1足のペースで家人のために

靴をつくってます。

わけあって、必ずシカの革を使います。

荻窪の「クラフト社」が行きつけです。)

シカの革って、

「バグってる??」と思うほど通気性がいい。

コマツの靴は全部アンライニングです。

味もめちゃめちゃ出るし、

とにかく丈夫。

しかし一般の靴ではシカ革はまず使われません。

なぜなら、

1.キズが多い。

野生ですから、しょうがない。

2.伸びすぎる

シカの革って

「コンドームか」っていうくらい

全方向に伸びます。

手作業だと「手加減」ができますが

工場の「釣り込み機」だと

どこまでも伸びちゃうし、

個体個体に差が出すぎます。

残念ながらいまはもうない国産の

フラッドヘッド のブーツなんかは

シカ革でチャレンジした

数少ないメーカーでした。

ソース画像を表示

↑良くも悪くも、これはいてバイクで走ると

足元が寒い寒い

というクレームは今でも伝説です。

今は買えません。

3. シンプルに革の値段が高い。

ベビーカーフ並みに高いです。

ベビーカーフで靴つくると、

10万は確実に超えてきます。

・・・・・・・・・・・・・・・・

さ、

脱線はこのへんにしましょう。

いいですかー。

ちゃぶ台ひっくりかえしますよー。

すうっ(息を吸う音)

起毛革のちがいなんて、

今の時代

正直、どーでもいいんですよ。

そんなウンチクを垂れる男は嫌われます。

・・・私のようにね。

嫌われたい人のために書きますが

スエードは「革の裏面(つるつるしてない方)」を

わざわざ紙ヤスリで起毛した革。

なんでこんな

めんどい革が開発されたかというと、

もともとは命をガチンコで賭けていた

軍隊用です。

シンプルに言いましょう。

スエード、および起毛革は

「生き延びるために」

四苦八苦して編み出された革です。

といっても第一次世界大戦までさかのぼりますが。

戦ってる最中、雨降るでしょ?

で、第一次大戦って「塹壕戦」でしょ?

第1次世界大戦中、水びたしの塹壕(ざんごう)で戦…:第1次世界大戦 ...

足も靴もぬれるんですよ。

どうなるか。

足が不衛生と血行不良で「腐る」んですよ。

で、戦闘中の晴れ間に

一秒でも早く乾かすためにあみだされた

当時のハイテク技術がスエードです。

つるっとした革より乾くのが3~4倍速い。

革のクラックも防げる。

これがスエードです。

今だと、おしゃれ靴の代名詞ですが、

全然今でも応用できます。

防水スプレーって、正直あんまり効かないでしょ?

その「効かない防水スプレー」を

スエード(起毛革)にかけてみてください。

ビビるくらい水、弾きます!

けっこう持ちもいい。

半日はいけます。

防水スプレーはフッ素の粒子なので

表面積が多ければ多いほど

威力が増します。

胃とか腸の「ひだひだ」理論といっしょ。

つるつるの革だとイマイチ効果がわからない

人も多いはず。

それ、正解です。

・・・・・・・・・・・

いったんスタートラインに戻りましょう。

そもそも防水スプレーって

スーパーでも百貨店でもアマゾンでも

どこでも売られてるし、値段の差もピンとこない。

・・・っていう方なら

防水スプレーは、やっぱり国産の

コロンブス社の「アメダス」がいい。

品質にぬかりが一切ない。

今でも、エルメスでバッグ買うと

デモンストレーションでこれかけてくれます。

(ただし効果は24時間なので高揚感的サービス。)

フッ素はかけすぎても悪いもんじゃありません。

なので、大容量じゃなきゃ意味ないです。

   コロンブス 防水スプレー アメダス 420ML ( 皮革に防水、防汚効果 AMEDAS ) ( 4971671177314 ) 楽天で購入

お、ここ安いですね。

たまに「携帯用」とかで

ちっさい防水スプレーが600円とかで売ってますが

詐欺です。

「たっぷりと」

「前日から」

掛けないとほんと意味ないですから。

あと、直接防水スプレーを吸うと

肺細胞も防水しちゃって簡単に死ぬので

絶対的に外で掛けてください。

・・・・・・・・・・・・・・・

じゃ「ヌバックやらベロアには意味ないの?」

あります。

これもウンチク言った瞬間に女性からは

嫌われる知識ですが、

「ヌバック」は革の表面(つるつるしたサイド)を

わざわざヤスリで削った革。

外人さんの発音だと

「ニューバック」です。

戦後に「ファッションとして」誕生してます。

機能的な意味はなし。

見た目だけ。

ただ、スエードよりさらにキメが細かいので

防水スプレーはより効きます。

ティンバーランドなんかも「ヌバック」です。

イエローブーツの場合は、

革のなめしの段階からフッ素をしみ込ませてるので

撥水力はそうとうあります。

ただ。

フッ素はどうやっても気化するので、

イエローブーツも防水スプレーかけないと

簡単に内側に水はいってきます。

こまめにスプレーしてれば大丈夫。

そして最後に「ベロア」。

本来テキスタイル(布)で使われる用語ですが

ベロア に対する画像結果

(↑これが正しいベロア。)

どこでどう歴史がねじ曲がったか

「日本においてのみ」

革でも通用する謎ワードです。

ざっくりいうと、

レッドウィングとかチペワとか

「荒々しい」「分厚い」スエードのことを

日本では和製英語でベロアと呼んでます。

海外では全然通用しません。

わかりやすく言うと、日本国内では

スエードとヌバックが子牛の革。

帽子なんかにも使われます。

スエード キメ細かい に対する画像結果

↑絶対手触りよさそうでしょ。

・・に対して、

ヌバックはおっさん牛の革。

工業高校で使う「革手」。

床革 に対する画像結果
ソース画像を表示

これを靴に使うとこう。

 

なぜか日本ではあまり知名度がない

レッドウィングのアイアンレンジャー。

 

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汚れ上等。

タフであればよし。

キメが粗い。

分厚い。

タワシみたいな感触。

これでなんとなく伝わると思います。

とにかくタフです。

おっさん牛なだけあって、油分もたっぷりで

とくに防水スプレーを掛けなくても

ちょっとした雨なら弾きます。

・・・・・・・・・・・・・・・

話がそうとうあちこちに飛びましたが

ゴアテックスの「メカニカルさ」が

イヤなら、

スエード×防水スプレーでいきましょう。

さすがに雪はムリですが、

東京の雨ていどなら

おしゃれにはもってこいです。

それではまた明日!