毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1044 島津タイマー事件は他人事じゃない

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おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

ちゃんと靴の話です。

が。

 

島津製作所のニュースを見て

都市伝説じゃなかったんだと

なんとも暗い気分になりましたね・・。

「タイマーで故障を偽装し部品を売る」島津製作所子会社による悪質不正行為の全容:品質不正問題(1/3 ページ) - MONOist

 

自社のX線装置の点検の際に

タイマーを取りつけ

一定期間後に故障するようにした、

という信じられない事件です。

 

こじつけでもなんでもなく

これ、靴の世界にも関係大アリです。

 

革靴を大量生産するときに

釘をつかいます。

スニーカーでは使いません。

 

中底とプラ型を固定するのに

専用の釘打ちマシーンで

片足3か所ずつ釘を打つんです。

 

釘とはいっても

ホッチキスの針を5倍くらい

デカくしたものです。

あとから抜きやすいように。

 

このとき釘の先端をプラ型に向けて

打たなければいけないので、

当然靴を履いた「足の裏に向かって」

釘が打たれます。

 

当たり前ですが途中で抜きます。

(底付の前の段階で)

じゃないとプラ型が抜けませんから。

 

ただし。

 

〇釘を抜くのは人の手

 

なので、必ずエラーが起きます。

 

・釘が折れた

・抜き忘れたけどプラ型は抜けた

 

あたりが王道ですね。

 

そのまま出荷されてあなたが履くと

釘が刺さって血が出るだけでなく

裁判までいかなくても

かなり面倒なことになります。

メーカーと被害者の間で。

 

だってまさか靴の中から

釘が突き出てるなんてだれも

想像しないじゃないですか。

 

当たり前ですがけっこう全力で

釘の上を踏むんです。

とんでもない痛さですよ。

 

血が出るだけではなく

服も売り場も汚れるし

もう被害者の言い値で話をつけるしか

ありませんよね。

 

そのためにほとんどの工場では

靴の中に素手をつっこんで

チェックします。

私がかつて勤めていた工場では

2回やってました。

 

でも、年に1回は出ちゃうんです・・。

 

なので、割と大きめな工場では

エックス線の装置を使って

「目視」で釘チェックをします。

 

空港での手荷物検査に似てますね。

ベルトコンベアに流れてきた靴に

X線を通してチェックする、

あの仕組みです。

 

一応言っておきますが

靴の工場や空港で使われている物が

島津製作所のものかはわかりません。

医療用の機器でやったと報道されてますし。

 

が、超大手がこれを数年かけて

意図的にやっちゃってると

疑わしくなっちゃいますよね・・。

 

かりに同じ手口でやられてしまったら

機械の修理費だって相当な額でしょうし

工場だっていつラインが動くか

わからないわけですから、

へたすると工場の存続問題までいっても

おかしくありません。

 

 

〇釘出を見逃すと

 

ほんっと後処理が大変なんです。

 

いつか書きましたけど、

若手を中心にいきなり遠くの倉庫に

呼び出され、

数万足の靴に全部手を通して

チェックしなければいけません。

 

それも何日かかるかわからないんです。

費用はもちろんメーカー持ちで

残業代だってもちろん出ません。

 

私は立ち会っていませんが

おそらくもっと大変なのは

営業の方でしょう。

 

卸先と被害者の方に謝罪って

なかなかの罰ですよ。

しかも自分は全然悪くないのに。

 

うっ・・ひさびさに胃が・・。

 

 

〇靴の世界にあるタイマー

 

靴の世界にも実はタイマーがあります。

 

・ウレタン底なのにメーカー修理なし

・表は革なのに裏は合皮

 

ぱっと思いつくのはこのふたつですね。

メーカー名は差し控えます。

 

日本の靴も採算の関係で

表は革なのに裏は合皮、という靴が

多くなりました

 

と、あるかたがツイッターで仰ってました。

ついに日本の靴もここまで来たか・・と

げんなりしましたね。

 

値段の割に数年ももたないし

修理もできないか

修理するにしても

本体以上の値段がかかります。

 

悪質なのがだいたいこういうのは

「信頼の日本製」

「高級革使用」

と謳ってるんです。

 

中敷きだけが合皮、というのは

全然アリです。

とりかえられますし

靴下への色うつり防止のためなら

なんなら合理的です。

 

が、本体はそうじゃない。

 

いやいやいや・・・

設計の段階でわかってますよね?

営業の方も、販売の方も

わかっててやってますよね?

 

ダメです、って言っても

もうこういうメーカーはダメです。

 

やってることは島津タイマーと

本質的には一緒。

というかもっと悪質かも。

 

ウレタン底に至ってはいまさらです。

 

海外の製品を輸入して

湿度の高い日本でこわれた、

ならわかりますが

それでもメーカー修理くらいはやらないと

信頼を落としますよ。

日本のメーカーならなおのこと。

 

まあ・・繰り返しますが

ダメです、って言っても

もうこういうメーカーはダメです。

 

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

スピングルムーブ

「SPM-241」。

 

24200円。

 

【返品交換送料無料】スピングルムーブ SPINGLE MOVE スニーカー SPM-241 [SPM241-18] メンズ・レディース 日本製 スピングル ムーヴ Camel オレンジ系

 

シカ革を全面に使っているので

めちゃくちゃやわらかく

かつ強いです。

 

よほどサイズ感をまちがえないかぎり

痛い、という方は

なかなかいないはずです。

 

数か月前にスピングルムーブ自体が

値上がってますが、

売れてますねえ・・・。

 

シカの素材感もいいんですが

発色がすごく落ち着いていて

かなり大人っぽい雰囲気です。

 

今の時期だとシカ革は通気性が良すぎて

やや足元が寒いかもですがw

真冬以外なら夏でも余裕。

 

全工程を広島でつくってるみたいなので

ふえてふえてしかたない

国産シカを使っていたらおもしろいですね・・。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

それではまた明日!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はいおつかれー。

バー「どん底」へようこそー。

ビールどうぞ。

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このコーナー、

今後不定期にしようかなと。

 

はじめは「断酒日記」とか

書こうと思ってたんだけど、

ぬるっとやめたんで

その必要があんまりないし

 

かといってなんか面白い話も

毎日出てくるわけでもないしねえ。

 

つーことで

気が向いた時にオープンします。

 

お楽しみに~。

 

おやすみ────────☆