毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

173 靴修理って食っていけるの?

っていうわりとガチめの質問がきたので、

お答えします。

はい。

余裕です。

意外だと思ったでしょ?

でも万が一、靴修理で食っていこうかな、と

考えてる方は最後まで読んでくださいね。

靴修理 イメージ に対する画像結果

あ、こんにちは。

靴修理人 兼 シューフィッタ― 兼 靴マニアのコマツです。

また起承転結を無視して

「転」からいきましょうか。

今の私の給料は手取りで30万だったんですが・・

コロナの影響で、たぶん当面25万まで減りそうです。

それでも25万。

家族も子供もいますが、特に奥さんも

働いてくれてるので、ギリ子供(ひとり)を高校まで

卒業させられる目途はたっています。

大学は金銭的にムリだし、コマツ的にも無意味と思ってます。

ちなみに私は40代前半ですが、

ここ何年かでずいぶん同世代の自殺者が出ました。

個人差はあると思いますが、

コロナのインフォデミックによる

この戦後最大の不況の中で、

衣食住が確保できて、

あまつさえ子供を高卒にできるだけで

120点の合格だと思っています。

最初に「余裕」と言ったのはこういう意味です。

ふざけんなと思った方は読まんでください。

私は某チェーン店の修理屋で12年くらい働いてます。

場所は東京のどこか。

諸事情があり、名前は出せませんが

わりと全国にあるようなチェーン店です。

このブログも会社にばれてる感があるので(草)、

察してほしいのですが・・・・。

いいですか。

ここからは全部ウソの話です。

ウソですよ。架空の話ですよ。

(よし。これで法律上は訴えられても負けないはず。)

ばーーーーっと実態を晒すと、

①労働環境

休みは月7回前後。有給をつかって夏休み・冬休みも取れます。

名ばかりの労働組合もあります。

年2回、一応ボーナスも出ます。

出なかったことはありません。

ただし。

完全実力主義の世界なので、

給料にはものすごく差が出ます。

基本給は決まってますが、それも差があります。

腕も向上心もなく、クレームが多い人間は

容赦なく地下鉄のすみっことか、ショッピングモールの

ATMのそばとかに追いやられ、手取りは16万くらい。

ボーナスはたぶんゼロに近いでしょう。

これでは独身者以外食っていけないので、

ぶっちゃけ辞める人が多い。

私の場合。

20代の頃の「靴設計」の地獄の8年と、

「靴マニアの知識」、

そして自腹(12万)をきった「シューフィッタ―」の資格を盾に

今の給料を実力で勝ち取っています。

半年ごとに会社の評価があるので、気は抜けません。

②学歴

学歴はまったく関係ありません。

かりに中卒でも、審査はガバガバなので

高卒と虚偽申請しても(法律上は違法ですが)

バレた人を見たことがありません。

中卒(高校中退のヤンキー)でも根性で幹部に

登った人もいます。苦労を知ってるだけに、かなり

リスペクトできます。オラオラ系では即パワハラ

クビになることも周知されてるので。

③適正

ひとこと。

「靴が好きかどうか」この一点だけ。

コマツ的にはこれが本当にマジでガチで絶対的に重要。

これだけです。

 

今、自分にどれだけの知識があるかとか

経験あるなし関係ありません。

誰だって最初は痛くても、すぐ気持ちよくなる!

知識とか経験がなくても、

イヤでも毎日靴に接することになるので(笑)

好きな人は自動的に腕があがります。

修理も、靴みがきも、フィッテイングも。

頭でっかちでもいいから、靴好きなら天国です。

その頭でっかちの知識がまんま血肉になります。

逆に、靴が狂信的に好きじゃなければ、ただの地獄です。

個人差がありますが、早い人で半年、

どんなにぶきっちょな人でも3年で

「手に職がつきます」。

そうなると、給料もあがります。

あー、ちなみに合鍵なんかもやってますが

コマツはカギにまったく興味がないので

いまだにミスばっかりしてますが、反省もしません。

④コミュ障でもいけるか

ひとこと。

むしろコミュ障がほしい。

というか・・・・・

コミュ障じゃない人間をこの会社で探すのが難しいくらいです。

私自身も絶賛コミュ障進行中。

接客がムリ?

わかる。

これ、自分でも理屈はわからんのですが、

靴修理は異空間なので、

コミュ障のほうが「職人感」が出て、

いい感じになるっていう異世界なんです。

やりようはいくらでもあります。

具体的に話しましょう。

私は接客が嫌なので、いつも接客は新人に「マニュアル通り」にまかせて

うしろから作業しながら、または

「作業してるふり」をしながら

実はしっかりと後ろから

その靴の状態とお客さんをプロファイリングしてます。

これって、コミュ障だからこそのアドバンテージでしょ?

しかも、よっぽどの百貨店でない限り

靴修理の接客なんて、お客さんもハナから期待してません。

キレイにリペアできれば、どんな言葉より伝わります。

わたしのように「できる先輩」なら

うしろからボソボソっとサポートもしくは

接客そのものを代わります。

⑤闇

ヒマな時間って絶対的にあります。

特に今アフターコロナで戦後最大の不況中だし、

靴修理自体もオワコンだし。

オレゴン大学の論文から引っ張りますが、

「ぼーっと考えてる時間の9割は悲観的なことを考える」

そうです。

あたってる・・・・・。

続きを言っとくと「ぼーっとしてる時間はスマホとかで

ゲーム等をしたほうが全然マシ」です。

あたってる・・・・・。

いつか同僚が爆笑しながら話してたんですが、

妖怪ウォッチ」に「マガサス」って妖怪が出てくるんですって。

 

「マガサス=魔が差す」、うちの会社そのものだって。

たしかに。

これ、笑えない話です。

架空の話ですが、身近でワンオペでやってた人で

○シャブやって解雇

○釣銭・売上金盗んで逮捕

○自殺(FXっぽい)

がこの半年で起こりました。嘘ですけどね。嘘ですけどね。

複数のスタッフがいる環境ならまだマシですが、

それでも、

自分自身の未来へのどうしようもない絶望感は消えない。

でも、だからあがけるんです。

まさに今私が書いてるブログそのものがそう。

数年中に、「靴修理だけ」では食っていけなくなるのは

どんな素人のかたでもわかるでしょう。

「ヒマな時間」にどんだけの挑戦ができるか、

どんだけの本が読めるか、

どれだけの動画をとれるか、

どんだけのインプット・アウトプットができるか、

それを続けられるか、を迫られます。

止まったらアウトです。

それでも最悪の事態になって養ってる家族を守るんだったら、

生命保険を確認して、遺書は残さずに

事故死をよそおって自分だけが死ねばいい。

でも動けば、次が自動的に見えます。

・・・・・・・・・

⑤最後にコマツ的意見

もうね、靴好きでスリルが欲しい人は

こっちの業界にきてほしい。

仮にあなたが独身なら、失うものはたぶんありません。

ネタと自由な時間が増えるだけ。

「自由な時間」「追いつかない技術」「緊張と不安」で

最初の3か月は5キロくらい体重落ちるかもですが。

そして、まずは大手のチェーン店にはいること。

大手です。

ミスター○ニットはいいけど、

ミスター○ラフトマンはダメです。

その他中堅はダメです(経験あり)。

・・・・・・・・・

長いひとりごとでした。

それではまた明日!