毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

134 おいおいおい!こんな低価格で本当に大丈夫か?「ユニオン・インペリアル」。

こんにちはー。

靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアです。

きのうは日本の靴業界が

いよいよヤバいというかなりシリアスな

お話をしました。

ツイッターで勉強させて頂いてる浅草のメーカーさんも、

今月で「抜き型」屋さんが廃業されると

おっしゃっていました。

「抜き型屋さん」とは、

革って一足一足裁断するのって超めんどいじゃないですか。

レザークラフト・抜き型・刃型~高津製作所へようこそ! | レザー ...

で、鋼のこういうナイフ代わりの「型」をつかって

村木るいさんの「人に話したくなる革の話」 革を裁断する仕事「裁断師 ...

クリッカー」という機械でプレスして

一撃で裁断するんです↓

はい、ひとつ間違えると指なんか一発でおちます。

指の2~3本ない裁断屋さんもたまにいらっしゃいます。

この、鋼でできてる「抜き型」をつくるのが

「抜き型屋」さん。

ここが一軒なくなるということは、

革の裁断がおっつかなくなる、ということです。

=靴が安定して作れなくなる、ということです。

マジで肝な存在なんです。

まあ、今はデニムなんかも裁断は

レーザーで焼ききってしまう時代ですが、

靴の世界だと、大手のスポーツメーカーでもない限り

レーザー裁断はまだまだ遠いです。

さて。

そろそろ本題にいきましょう。

そんな中でもたくましく生き抜いている国内のメーカーがあります。

この靴みてください。

めちゃめちゃキレイでしょう?

東京と千葉の工場で生産している

「ユニオン・インペリアル」という国内ブランドです。

うちの修理の現場にも高確率で現れますが、

まじでクオリティが高いです。

定価で5万前後。

ネットだと3万ちょいとか。

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まず、アッパーの革質がやばい。

アノネイという世界最高峰の牛革のメーカー、

もしくはそれに引けをとらないクオリティの

革を使っています。

光るし、タフ。

何回でも、どっからでも直せる。

ローファーの写真のように、耐水性抜群のモデルまであります。

裏の革も国産か、アジア諸国の牛革をぜいたくに

つかっています。

なによりユニオン・インペリアルがすごいのは、

大丈夫?って声に出るくらいやわらかいんです。

だって9割手縫いだから。

作業風景はこんな感じ。

チャン糸|ウェルト交換(リウェルト)で使う糸と手縫いの修理 – 靴職人 ...

これが、

靴作り教室~6回目。 | Artigiano ciao

こうなって、

会社案内|靴のソール「出し縫い」、高級靴のソールリペア(修理)の ...

こうして、

こうじゃ。

伝わらんかのー。

デパート行って、リーガルと履き比べてみてください。

全っっっ然ちがいますから。

硬いのが好きな方はリーガルを買ってください。

このクオリティをアメリカとかヨーロッパで再現して

輸入すると、

余裕で10数万円超えてきます。

5万で利益出てんだろうか・・・(滝汗)

ちなみにここのメーカーは

正式名称が「世界長ユニオン株式會社」。

はい、アパレル大手の世界長がバックです。

世界長がスポンサーにつく前、

2回(1回という説もあり)は倒産してます

それでも這い上がってこのレベル。

60代以上なら、「マレリー」とか「ミラショーン」で

ご存知の方も多いはずです。

リアルモカシン製法で、

見た目はダサいですがはき心地はヤバいです。

60~70年代にスイスのバリーがつくっていたものを

日本の医者や弁護士がこぞって愛用したところから

この手の靴がブレイクしたそうです。

ところで私は若いころイギリスで靴を学んだんですが、

グッドイヤーを熱心に授業していたC先生の足元は、

いつもマレリーのこれでした・・・。

あとこれのメッシュのやつ。

聞くと「日本人の卒業生が無事メーカーに就職して、

自社製品を送ってくれたんだ。」

「履き心地?ソックスだよ。トリッカーズなんか履けないよ!」

・・とマジ顔で言ってました。

いや、それマッケイだし、日本製だし、

それはいてグッドイヤー最高っていう授業すんなや・・

とは言えませんでした。

ノーサンプトンの靴の会合に顔出す時には

スポンサーであるチャーチの靴を履かねばならんらしく、

そのたびに

「かてえ靴だな、クソ。まじで履きたくねえわ」

と、でかい声で独り言をいってました。

C先生、生きてっかな。

あなたの教え子は(私だ)たくましく生きてますよ!

それではまた明日!