元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

43 グッドイヤー製法は死んだ(後編)

(いきなり続きます)

それに、グッドイヤー製法の靴をオールソールするのに、一番安いゴム底を選んでも、だいたい¥8000~、もろい国産の革でも¥10000~、頑丈なオークバーグの革もしくはビブラムソールを使えば¥15000~あたりが相場です。どこでやっても工場経由になるので、最短で10日。平均で1か月弱と、それなりに時間もかかります。

グッドイヤー製法の靴を3万とか5万で買って、一体何人がオールソールをするでしょうか。〇―ガルの工場に勤めていた頃は(もう20年近く前です)、販売数から逆算すると

たぶん50人にひとり

くらいの割合でした。街中の修理屋で頼む人を入れても、せいぜいが30人にひとり くらいだと思います。これで20年前の話。

たぶん2020年の今だと、わざわざグッドの靴を買ったのにオールソールを1度でもする方は・・きっと100人に一人くらいではないでしょうか。今でもオールソールのご相談自体は多いんです。みなさん値段でひきます。私でもそうでしょう。(トリッカーズとかクロケットとか、8万超えてくると割合はググっと高くなります)

みんなお金に余裕がありません。まして仕事で使っている靴の場合、車検と違って代車もありません。はっきり申し上げると、グッドの修理はほぼ趣味の世界になっています。じゃあ値段ぼったくってるのか、と言われれば断言して違います。

底の糸を切る、ヒールの釘をすべて抜く、底を慎重に剥がす、ウェルトの糸を1本1本すべて抜く、コルクを貼りかえる、新しい底材を~~~(以下略)個人的には¥15000でも全然割に合いません。

もうこうなったら実名出しちゃいますが、イギリスのサンダース、スイスのバリー(珍しいんですが、グッドイヤー製法のラインがあります)などは、つくった時から不良品(すくい縫いと出し縫いが交差している)なんで、グッドイヤー製法なのにオールソールは断っています。それ以外も概して工場のレベルの落ち方が半端じゃない。

逆にこの時代でもヤバいくらいレベルの高いグッドイヤー製法は、国産ならスコッチグレインとペルフェットのみインドネシアのジャランスリワヤ、イギリスのクロケットあたりは意地が伝わってきます。

もう、趣味以外のビジネスシューズや、ファッションでのワークブーツならセメント(接着するだけ)製法かマッケイ(1回だけ縫う)製法で充分です。

なーんちゃって。

今回はこのへんで!