(いきなり続きます)
それに、グッドイヤー製法の靴をオールソールするのに、一番安いゴム底を選んでも、だいたい¥8000~、もろい国産の革でも¥10000~、頑丈なオークバーグの革もしくはビブラムソールを使えば¥15000~あたりが相場です。どこでやっても工場経由になるので、最短で10日。平均で1か月弱と、それなりに時間もかかります。
グッドイヤー製法の靴を3万とか5万で買って、一体何人がオールソールをするでしょうか。〇―ガルの工場に勤めていた頃は(もう20年近く前です)、販売数から逆算すると
たぶん50人にひとり
くらいの割合でした。街中の修理屋で頼む人を入れても、せいぜいが30人にひとり くらいだと思います。これで20年前の話。
たぶん2020年の今だと、わざわざグッドの靴を買ったのにオールソールを1度でもする方は・・きっと100人に一人くらいではないでしょうか。今でもオールソールのご相談自体は多いんです。みなさん値段でひきます。私でもそうでしょう。(トリッカーズとかクロケットとか、8万超えてくると割合はググっと高くなります)
みんなお金に余裕がありません。まして仕事で使っている靴の場合、車検と違って代車もありません。はっきり申し上げると、グッドの修理はほぼ趣味の世界になっています。じゃあ値段ぼったくってるのか、と言われれば断言して違います。
底の糸を切る、ヒールの釘をすべて抜く、底を慎重に剥がす、ウェルトの糸を1本1本すべて抜く、コルクを貼りかえる、新しい底材を~~~(以下略)個人的には¥15000でも全然割に合いません。
もうこうなったら実名出しちゃいますが、イギリスのサンダース、スイスのバリー(珍しいんですが、グッドイヤー製法のラインがあります)などは、つくった時から不良品(すくい縫いと出し縫いが交差している)なんで、グッドイヤー製法なのにオールソールは断っています。それ以外も概して工場のレベルの落ち方が半端じゃない。
逆にこの時代でもヤバいくらいレベルの高いグッドイヤー製法は、国産ならスコッチグレインとペルフェットのみ、インドネシアのジャランスリワヤ、イギリスのクロケットあたりは意地が伝わってきます。
もう、趣味以外のビジネスシューズや、ファッションでのワークブーツならセメント(接着するだけ)製法かマッケイ(1回だけ縫う)製法で充分です。
なーんちゃって。
今回はこのへんで!