おつかれさまです
こまつ@shoes_komatsuです。
たまには超絶マニアックな話を。
革靴、とくにブーツをつくる過程で
「クリッピング」が必要なことが
たまにあります。
うっ 胃が・・。
要クリッピングのブーツを担当すると
1日に2か所胃に穴が開きます。
メーカーさんがデザインしてきた
要クリッピングのブーツを
いかに回避できるかが
設計士の腕前といってもいいでしょう。
たとえばこういうブーツですね。
ヤンコ ジョッパーブーツ ブラック (YANKO 14118 BLACK)
甲の部分、1枚革で
パーツのつぎめがありませんよね。
でも立体でしょう。
おかしな話なんですよ。
革は平面、靴は立体。
ソール周りとか短靴であれば
木型にそわせてぎゅうぎゅう釣りこむことで
立体感が出せます。
ブーツの上の方の部分だと
釣りこみには関係ないし
立体感出すにはパーツで分割するしかありません。
Dr.Martens 2976 CHELSEA BOOTS ドクターマーチン チェルシーブーツ サイドゴア レディース ブラック 黒 26695001
甲の部分が3分割されてるでしょう?
ここのラインってお互い微妙にずれていて
貼り合わせると立体になります。
イメージ的にはこう。
立体裁断、ってやつです。
これは簡単なんですよ。
型紙起こすのも、革を裁断するのも。
これも立体裁断。
平面なのにパーツを縫いあげると
きちんと立体になります。
じゃあこれは?
パーツの継ぎ目がありません。
これはクリッピングを避けられなかった
ブーツです。
うっ 胃が・・・。
・・・
革をクリップする、という意味で
クリッピングですが
実物をご覧ください。
手でやるとこう。
革を濡らして柔らかくして
パーツの段階でむりやりクセ付けをします。
さらっと書きましたがまずこれがもう大変。
ゴムじゃないんで
革なんてそううまく伸びてくれないんですよ。
どっかシワがはいったり左右非対称だったり
そもそも濡らした時点で変色したり。
この写真わかりやすいですね。
革に銀色の線がはいってますよね?
ここで裁断するんです。
・・じゃあほかの部分は?
捨てます笑。
笑ってる場合じゃねえよ!
捨てるんですよ。
釘のあともついちゃってるし
しかしこの「つりしろ」がないと
クリッピングできないんですよね。
だから捨てます。
この時点で手間がかかるだけでなく
革代が通常のブーツより
1.5~2倍ほどかかるんです。
・・・
実際大量生産になると
いちいち手でつりこんでられないので
「クリッピングマシーン」をつかって
片足10秒くらいでクセ付けするんですが────
マシーンの写真がないので
熱と蒸気を吐き出すすごいやつ、と
イメージしてください。
なんせマシーンなんで
ものすごいパワーで融通が利かない。
文字通り「手加減ができない」んです。
どうなるか。
革が裂けます笑。
だから笑い事じゃないんだって!!
それか革は生き物なので
左右差が尋常じゃなく出るとか、
設計通り曲がってくれないとか。
アイロンみたいに熱で加工するので
おいしそうな焦げ目がつくこともありますね。
こうなると全部破棄です!
300足分のパーツが
目の前でどんどん破棄されていく。
このパーツだけ使えないんじゃなくて
ほかのカカトとか羽根とか
同じ革からできてるパーツが
ぜんぶぜ────んぶ使えないんですよ。
パーツで差があるとまずいでしょう?
まあ・・・この時点で
胃に確実に穴、開きますよね。
まだまだ。
納期は待ってくれない。
もう一度革を買って(300足分とか)、
もう一度裁断して、
もう一度クリッピングマシーンにかけるまで
まあ1週間はかかりますよね。
この時点で大赤字です。
まだまだ。
なんせ革にあとが必ずつくので
靴にしてメーカーさんに納品して、
まあまあの確率で「つくりなおし」させられます。
左右で風合いがちがうから。
ジャパニーズファッキ〇クオリティ。
それでも頑張って再納品するんですよ!
今度は販売店から返品。
左右で(以下略)
・・・
それを踏まえたうえで
このブーツよーくみてください。
センターにうっすら一本あとが残ってるでしょう?
クリッピングマシーンの跡か
担当者の血反吐の跡です。
スエードは作業途中で毛が寝るので
起こすのも超絶に手間かかります。
そして商品レビューを見ると
☆1
日本人の足には大きいしフィット感がまったく無い。
知るかあああああ!
って感じに!
なるんですよ!
おい・・・☆1つけたお前を
クリッピングマシーンに
かけてやろうか・・・?
これを読んでる靴設計の方、学生さん、
「クリッピング回避」のトークスキルは
おっちゃん知ってるので
困ったら相談にのります。
まあそれは冗談にしても
デザイン違いで同じメーカーから
クリッピングある/なしの商品なら
値段も倍以上高くないと割に合いません!
本題終了。
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【今日のおすすめの1足】
いつ見てもいいですねー。
これがなぜ2万円台なのか
どこをどう考えてもわからない。
RAYMAR「シボ革フルブローグ」。
27000円・・・。
安定の2Eラスト。
リペアも簡単でコスパ抜群の
ビブラムダイナイトソール。
アッパーの革は雨どんとこい。
さらにリアルエンボスレザーで
濡れても銀浮きしません。
シューフィッターにはありがたい
全敷き(フルソック)仕様。
ヌメ革なので蒸れません。
なかなか試し履きのチャンスが少ない
RAYMARさんですが
先月から松屋銀座5Fにて常設!
大阪なら靴磨き専門店
TORCH様にサンプルがあります!
靴磨き専門店 SHOESLab.TORCH(シューズラボトーチ)| 大阪福島
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1件で税込み5500円。
回答のあとに1回限定で
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メールだと写真はりつけたり
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対面フィッテイング&ご相談会。
4月はこちらの枠が空いております。
7日(日)新宿
11時 12時 14時 15時
10日(水)新宿
11時 12時 13時 14時 15時 16時
14日(日)新宿
11時 12時 13時 14時 15時 16時
20日(土)新宿
11時 12時 13時 14時 15時 16時
21日(日)横浜
11時 12時 13時 14時 15時 16時
28日(日)新宿
11時 12時 13時 14時 15時 16時
29日(月・祝)新宿
11時 12時 13時 14時 15時 16時
内容・場所・お値段は
こちらをお読みください。
お申込み方法:
①
ホームページの「お問い合わせ」に
・お名前
・希望日とお時間
・メモ程度でいいので
ざっくりした相談内容
をお書きください。
②
お振込み先をご返信いたします
③
ご予約から2~3日を目安に
お振込みをお願いいたします
④
ご入金が確認できた時点で
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ご予約は公式ラインからも便利です。
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