毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

983 デザインは本当に苦しい

深海探査服・潜水服のイラスト

 

おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

 

ちょっと意地悪なことを書きます。

 

 

A4の紙を20枚あなたに渡しました。

 

なんでもいいから

「新しい」スニーカーの絵を

半日で20枚書いてみてください。

 

もうひとつ条件。

 

「パクリじゃないこと」。

 

 

 

 

 

 

おそらく無理だと思います。

 

 

 

さくっとやってのけたら

すぐにスポーツメーカーに就職するか

インスタグラマーになるべきです。

 

 

プロはこれをやります。

それも毎日。

 

私は20年以上前

靴の設計の世界にいましたが

「デザイナー」ではありませんでした。

 

もっといえば

「デザイナー」にそもそも

なりたくありませんでした。

 

 

私は美しい革靴やスニーカーを

見過ぎました。

はじめから戦意喪失していたんです。

 

 

しかし靴は好きだったので

とにかく裏方でもいいから

靴の仕事にたずさわりたくて

渡英しました。

 

 

〇そしてアウトレイジの世界へ

 

 

「設計」と「デザイナー」は

決定的な差があります。

 

「デザイナー」はアイデアとセンス。

「設計」は2Dを3Dにすること。

 

たぶん今でもですが

なかなか仲が悪いですw

言葉こそ穏やかですが

ほとんど「アウトレイジ」の世界でしたね。

 

デ「この曲線が大事で」

こ「・・・そこ縫えません・・」

デ「折り返しならいけませんか?」

こ「テープ代でプラス200円アップと

 製甲賃で」

 

デ「そこをうまくできませんか」

こ「出来ますが確実に不良品が」

デ「こないだできましたよね」

こ「・・・雰囲気は似てますが無理っす」

 

表ではこういう会話ですが

お互い腹の中ではこうです。

 

「いいからやれやコノヤロー!」

「なんだバカヤロー!」

 

 

ふう。

 

ちょっとコーヒーでも飲みましょうか。

 

ずっ。

 

「カフェラテっつてるんだろ!」

「一言も聞いてねえよバカヤロー!」

 

 

まあこんな感じでしたよ。

 

今はCADもずいぶん発達してるんで

デザイナー/型紙/設計

がワンセットのメーカーが

多いんじゃないでしょうか。

 

 

あ────────────。

だからあのブランド消えたのか。

 

 

消えたいにしえのブランド、

結構あるでしょう。

資金の前にこのへんでつまづいていると

勝手に想像してます。

 

 

〇1日20デザインは苦行

 

 

プロのデザイナーは

はっきりいって数です。

 

こないだとあるメーカーのかたと

お話をさせていただきましたが

令和の今でもこうです。

 

平成とちがうのは

「靴だけ」の

デザイナーじゃないっていうことです。

 

正直

(それ逆にきつくねえ?)

(でも靴だけじゃ無理か)

(それをそう応用する?)

 

掛け算がめちゃくちゃうまいんです。

 

カレーって美味しいですよね。

私はアレルギーで食えないんですが(涙)

あれも掛け算の賜物でしょう。

 

正直世界トップクラスの会社の経営者が

たいていインド人っていうのも

カレーがルーツなんじゃないかと

勝手に考えてます。

 

現場に赴いてませんし

断言はできませんが

靴だけでも「1日20はあたりまえ」

だそうです。

 

もちろんAIは使えますが

私なら人格が崩壊しますね。

 

鏡に向かって「おまえは誰だ」って

問い続けると廃人になる

ゲシュタルト崩壊」ってやつです。

 

・なにが正解なんだっけ

・なにをパクってるんだっけ

・なにをデザインしてるんだっけ

 

 

たぶんこうなります。

 

自慢ですが私は中途半端に

靴の絵を書くのがうまいので

あるプロジェクトで

5点程度の靴のデザインを任されました。

 

 

胃に穴があくかと思いましたね。

 

今考えれば得意分野じゃないんで

テキトーにお茶を濁せばよかったんですが

20代の若さで真剣に考えちゃったんです。

 

 

5点ってことはサブも含め50点以上です。

 

なんとかやり終えましたが

社内でボロクソに叩かれ

そして叩き返し

 

結果

商業化された商品はひとつもなく

ひと月で数キロやせた身体だけが

残りました。

 

 

考えてみれば

それまでアウトレイジしていた

デザイナーさんって

みんな病的にやせてました。

 

激やせです。

もれなくあれは食ってません。

 

 

でしょうね・・・・。

 

 

クスリなんか使わなくても

「デザインする」って

入口をまちがえると

文字通り食えなくなります。

トイレで吐きます。

 

 

なので

 

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必ずオールスター寄りになるし

 

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必ずニューバランス寄りにもなるし

 

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スタンスミスの壁は

たぶんどこも越えられません。

 

 

メーカーとして

「失敗できない」わけですし

消費者側も

そんなに靴が好きではないからです。

 

 

〇デザイナーはいつでも崖っぷち

 

 

靴のデザイナーの待遇は知りませんし

過去から算出しても

胃が痛くなるだけです。

 

 

お気づきでしょうが

テレビのニュースって

ツイッターとかインスタから

パクってきたものばかりでしょう?

 

今後その傾向は増すばかりですよ。

なんでって・・・

私ならそうしますからw

 

 

ものすごく極端な考え方ですが

この先「新しいデザイン」って

要らないと思います。

 

 

少なくともナイキみたいな

新規開拓に何億も使えるような

ブランドは例外ですし

なんせ彼らはいい意味で貪欲なので

靴の世界を引っ張っていくのは

確実です。

 

 

しかし悪くいえば

値段も生産量も

致命的な配分率も

メーカー次第です。

 

 

その深海のようなプレッシャーの中で

デザインを出すって・・・

無理ゲーです。

 

デザイン自体をAIでつくることは容易ですが

それがすぐ売れるとは限りませんし

たぶん売れる以前に

生産できません。

 

 

そもそも私が靴のデザイナーを

志さなかったって

本能でここの壁を感じたからです。

 

 

あなたは明日

モーツァルトを越えられますか。

ゴッホを越えられますか。

 

たとえばゴッホを越える

ソフトができたとして

明日の製造ラインに乗っけられますか。

不良品のリスクは。

 

 

だーかーらー

デザインはイヤなんです。

 

基本パクリしか生み出せませんし

パクリ以外の「とりあえず売れろ」

以外のデザインは認められません。

 

 

逆に言えば。

 

車のデザイナーに

靴のデザインを頼むなんて

当たり前ですし

私はすごくアリだと思ってます。

 

 

極論ですが

大東亜戦争以降

才能ある飛行機の設計士が

失職しました。

 

その再就職先が

「車関連」だったことは明白で

彼らにとって飛行機の設計より

車のエンジンの設計の方が

イージーだったのは間違いないでしょう。

 

 

なにが言いたいのかというと

靴のデザインには限界があります。

 

義肢装具士

・神絵師

・なんかしらんけど靴が好きになった人

 

こういう方と四半世紀前に

一緒にお仕事できたら

少し世界は変わったと思います。

 

甘えでしょうか。

はい。甘えです。

叩かれるでしょう。

 

しかしデザインという事を書くときに

このことを

スルーせずにはいられません。

 

 

私がここで3億円配ります!

とか言えばいいのでしょうが

今はあいにくペソしかありません・・・。

 

 

 

靴のデザインについては

また書きます!

 

 

それではまた明日!

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

というところまで書いて

楽天アフィがフリーズしてますね・・・。

 

 

Image

 

これ絶対バグってるでしょ( ^ω^)・・・

 

【今日のおすすめの1足】は

お休みします。

 

あるあるなので

ふつうに諦めます。

 

 

いらいらしててもしょーがないので

こういう時は寝ます。

 

 

おやすみ────────☆