シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1952 マシーン測定=正解じゃない!“ピッタリの靴”はその先にある

 

おつかれさまです

シューフィッター「こまつ」あらため

シューフィッター佐藤靖青です。

 

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・・

 


今大型スポーツ店とか、

各ブランドの旗艦店に行くと必ず

「足測定マシーン」があるでしょう?

 

ゼビオ、アシックス、オン、HOKA、

ニューバランス、ミズノ、百貨店

などなど。

 

悪口じゃないんですが、

まんま信用してはいけません。

ああこれ悪口か。

まあいいや。

 

どこにもデジタルの測定マシーンはありますが

逆に聞きます。

あれで一発でドンピシャの靴に会った方、

います?

 

ほぼいないのでは。

 

マシーンの性能が悪いのか

測定する人が悪いのか

どうすればいいのかを今日は

わかりやすく解説します。

 

・・

 

まず、どこのショップでも置いてある機械に

そこまでの優劣はありません。

仕組みも性能もほぼ同じ。

 

しかし同じ人が3回測定したら、

まあまあ違う結果が出るはずです。

あくまで目安に過ぎないんです。

 

あの機械を病院にあるようなレントゲンとか

CTとかと同じレベルだと信用するお客さんが

あえていえばカモなんです。

 

じゃあ何のために測るのか?

 

もったいをつけるためです。

 

あー・・今完全に靴屋を敵に回しましたが

知ったことではありません。

もうちょい先まで読んでください。

 

なぜ機械はまちがうのか。

理由3つにまとめましょう。

 

理由①

人の足はめっちゃ複雑

 

マシーンで計った時、

・長さ・幅・甲の高さ

・左右での差

・アーチの具合

くらいはわかるでしょう。

 

逆に言えば、それしか出ません。

 

幅ひとつとっても、その方の足が

「どれくらいの伸縮具合か」は

わからないでしょう。

 

3回測って、3回ともちがう数字が出るのは

このためです。

ミズノとゼビオで全く数字が出るのも

同じ理由。

 

全体の靱帯も筋肉もがっしりしてる方の

足の幅と、

脂肪がたっぷりついて靱帯も柔らかく

地面に足を置いた時に「べちゃ」っとつぶれる足では

同じ数字でも全然ちがいます。

 

筋肉質な足ならまんまの数字でいいですが

「つぶれる足」なら締め加減の誤差を

絶対に考慮しないとダメ。

 

甲の高さも、骨の形と

足の皮下脂肪の付き具合で

まったく変わります。

 

どこの骨が一番飛び出てるのか、

あるいはフラットに高い/低いのか、

なだらかなのか急斜面なのか。

これもマシーンで測定不可能です。

 

 

理由②

止まった足と動いた足はまるでちがう

 

どこのショップでもレントゲンみたいに

じっと止まった状態で計りますよね。

 

しかし当たり前ですがその足って

動くんですよ。

アキレス腱の硬さ、足底筋膜の硬さが

どれぐらいの可動域があるのかで

全ての数字は変わってきます。

 

もっとわかりやすい比較だと

超一流アスリートが靴をつくるときは

・止まった状態

・歩いた状態

・走った状態

のデータを必ず取ります。

その掛け算で靴をつくるんです。

 

これだけでいかに一般用のマシーンの

データが乏しいかわかるでしょう。

 

最低でもマシーンで数字をつかんで、

そのあとその方の歩きクセと

つまさきの開き具合を見ないと

相性のいい靴はわかりません。

 

もはやここまでくるとAIを駆使しないと

無理ゲーなんですよ・・。

いまのところ庶民用のショップで

そこまで優秀なマシーンは見たことがありません。

 

かわりに、神店員の方だと

靴をいったん合わせたあと、必ず

「歩き方」を俯瞰して見ます。

 

足元だけじゃなく、頭の位置や

肩のブレ、靴の曲がり具合を見て

その靴との相性を考えるのは経験とセンス。

ここも機械はまだ勝てません。

 

 

理由③

靴の数字はかなりいい加減

 

これが一番でかいかもですね。

革靴は木型の長さ・足の長さ、

スニーカーは靴の長さとかって言いますが

はははははははははは。

もっともっといい加減なんですよ。

 

靴メーカーにいたころの実体験ですが

木型の長さなど測りません。

出来上がった靴の長さももちろん

測ったことはありません。

 

「これで24㎝でいいんじゃない?」

「このデザインだから3Eでいいんじゃない?」

 

マジでこんな感覚です。

 

しかし仮にここでノギスで計ったところで

意味ないんですよ。

履く人の感覚と捨て寸もデザインによって

バラバラなんで。

 

わかりにくいですね・・。

よしニューバランスでたとえよう。

ドル箱モデルの996と574。

このふたつ、メーカー表記は

おなじ「D」ですが

幅の感覚が同じと感じる人は

まあ99.9%いないでしょう。

 

いや、木型ちがうしアメリカ表記だから

JISが適用できないでしょ、ってのはナシです。

「同じメーカーで、同じ基準でのD幅」なんで

ピッタリじゃなきゃ理論上はおかしい。

 

素材もありますよね。

全部メッシュなのか、それとも革なのか。

伸びる布地か、まったく伸びないゴアテックスか。

 

ナイキのフライニットみたいに

「一枚の編み上げ」なのか

アッパーと裏地にクッションをかませるか。

ぐにゃぐにゃに曲がる底なのか、

鉄板のように曲がらない底なのか。

ここでも幅感はまったく変わります。

 

・・

 

かなり絶望的なことを書きましたが

本当なんだからしかたない。

 

少なくとも私の場合は

頭の中でこんな計算をしてます。

 

①足サイド

・足型・脂肪の付き具合・骨の太さ・靱帯の伸び具合・指の配置具合・アーチの落ち具合・足底筋膜の強さ・爪の生えかた

 

②脚~身体サイド

・歩きグセ・体幹の筋力・重心の落ちどころ・ヒザの揺れ・ぐらついた時の反応の速さ・歩幅・骨盤の高さ・腕の振り幅、振り方・アキレス腱の伸び具合

 

③靴サイド

・ざっくりの幅感・甲の立ち上がり具合・側面の落ち具合・カカト周りの絞り具合・ソールの曲がり具合・アッパーの曲がり具合・パッドの厚み

 

うわあ・・引きますね笑

これが足し算ではなくて、掛け算。

 

いちいちチェックというより

足を触る場合は手がセンサーになってくれるし

歩き方はあえて「ぼーっ」と見ます。

 

歩き方も直視というよりは

目の端とか、背景を定規にすると

「ここ変」というところは

まあまあわかります。

 

靴に関してはオタク力。

以上。

 

こういうのを全部計算してくれる

AI満載のマシーンが、この時代なら

あと数年でできるんじゃないでしょうか?

 

それまでは、原始的ですが

「履いた感触」が一番正直です。

測定マシーンと自分の感覚で差が出たら

絶対「自分の感覚」を優先させてください。

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

ナイキ「ペガサス41」

14850円。

 

NIKE(ナイキ)ナイキ ウィメンズ エア ズーム ペガサス 41

 

アキレス腱の硬い方、

何度も切ったことある方には

ペガサスはおすすめ。

 

ドロップ差(前後の高低差)10ミリで

まあまあヒールの方が厚く

するっと前に足が出ます。

 

ローリングシューズも多種多様ですが

ヒール部分もふかっと沈むので

無理やり足が転がる感は皆無。

 

ここ沈んでほしい!ってとこで沈むので

デザインの好みはわかれても

最近のナイキの中では超優秀モデルです。

 

 

 

※過去ご紹介した靴はこちらにまとめてあります。

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それではまた明日!