おつかれさまです
こまつhttps://lin.ee/CK9Z29Uです。
雑学回です。
革靴が履かれなくなっていくと同時に
靴の底付けの製法も減っています。
・カルフォルニア・プラット製法
あたりが顕著ですね。
カルフォルニア製法?
なにそれおいしいの、って今
思ったでしょう?
正式には「カルフォルニア・プラット製法」で
略してプラット製法、とか呼ばれることも。
以下、プラットと呼びます。
特徴は「軽いこと」。
軽い、なんてもんじゃなく
爆軽です。
今でもスリッパはこの製法ですね。
あとで説明しますが
「つりこむ」必要がないので
工賃が安く済みます。
靴では本当に絶滅危惧種になりました。
ほとんど見かけませんが
SAYAは得意です。
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底周りがちょっと
変わってるでしょう?
なんともいえない段差がありますよね。
図解するとこうなってます。
はいもうわかりませんね。
これたとえ実物の輪切りを手渡されても
よくわからないはずです。
厚底でクッションが必要で
かつおしゃれで軽さが必要だった時に
開発されました。
本当にアメリカのカルフォルニアで
開発されたらしいんでこの名前。
100年くらい前からの製法です。
・・・
ふつうアッパー(上の側)と底を
がしゃーんってくっつけるじゃないですか。
それでいいじゃないですか。
戦後まもなくはそれがよくなかった。
接着剤の性能もいまいちだし
縫い付けると無骨になる。
しかもどう頑張っても重い。
で、カルフォルニアの方は考えたんですね。
本体がある。
もうひとつ、お客さんには見せられないけど
スポンジがある。
今のスポンジほど見栄えが良くないし
「スポンジを見せる」って発想も
当時はなかったんでしょう。
本体とスポンジをうまくくっつけたい。
でも剥がれたらアウト。
→スポンジを革で隠せばいいじゃん!
これがプラット製法の由来です。
さらっと今文章で書きましたが
つくる方はもう・・・
ひとこと、「めんどくさい」。
スポンジを隠すテープも
厚いとシンプルに重いし
縫っても本体からパンクしてはがれるため
極限まで薄く「漉く」必要がある。
これを本体と寸分の狂いもなく
縫うわけなんですが
問題はここ。
どうしても手作業なんでずれる。
シワも寄る。
致命的なのは「つりこめない」。
靴なのに釣りこめないんです。
アッパーとテープと中敷きも
全部ぶち抜きで縫うしかないので
釣りこんだあとの微調整がききません。
胃が────────。
ふふっ
まだここからなんです。
アッパーにテープがくっついた様子は
写真ないのがもったいないんですが
クラゲそのものです。
今度はスポンジをくるむんですよ
手で。
あ、このスポンジが厚いので
100年前はそれが電車のプラットフォームに
見えたそうです。
・・どう見てもそうは思えないんですが
まあ、100年前ですから笑
餃子を包むようなものです。
テープも薄いし
スポンジも柔らかいんで
ワニの出番はあまりありません。
シワがよったら普通は熱ゴテとか
熱風でシワを伸ばすんですが
この場合スポンジが熱で収縮するんで
不可。
現場を想像してください。
フラストレーションがMAXまで高まり
しかし作業は遅々として進まず
不良品はバシバシはじかれる。
深夜をまわっても一向に見えてこないゴール。
胃があああ────────。
・・・
もう思い出すのをやめよう。
スリッパとかのプラット製法の
専門ラインがある工場は
たぶんもっと効率的にスムーズに
やってるはずです。たぶん。
しかも今は接着剤もはるかに進化して
スポンジもスニーカーの進化とともに
「見せる」ことができるようになりました。
どうでもいい話ですが
ひと昔前のアムラー的厚底時代は
プラット製法が多かった。
厚底部分が革(か合皮)で
巻かれてたじゃないですか。
巻かれてたじゃないですか、って言われても
えっそうだったのという答えが聞こえそうですが
工場では胃に穴の開いた職人と
安易に引き受けてしまった設計者(私だ)が
のたうちまわってたんですよ笑
軽いのはいいけど
ぶつけてテープに穴が開いても
リペアもほとんどできないし
書けば書くほど
淘汰されて良かった製法な気がしてきました。
セメント最高!
本題終了。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【今日のおすすめの1足】
本題つづき。
とはいえプラット製法にしか出せない
ドレス寄りのカジュアル感、
スニーカーでは出せない優雅さは
たしかにあります!
今革靴でプラット製法だとほんとに
SAYAくらいじゃないでしょうか。
SAYA「Tストラップシューズ」。
27500円。
あ、念を押しておくと
若いころ胃に穴が空きそうになったブランドは
SAYAではありません!
誤解なきよう。
ここまで完成度が高くて
アッパーの材料もただの牛ではなく
キップ(子牛)。
超絶エレガントです。
さらに革テープも使わない技法なので
この場合、多少キズがついても
補修可能。
底もカカトもリペアできます。
グルカもいいですが
Tストラップもやっぱいつの時代も
いいもんですね。
※過去ご紹介した靴はこちらにまとめてあります。
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