毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

1058 大塚製靴リベンジ。

 

おつかれさまです

こまつ@shoes_komatsuです。

 

1053 昔の靴ってすごい。「大塚製靴150周年モデル」。

5日前にこんな記事を書きました。

これの続きでもありますが

とくに読まなくても大丈夫です。

 

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こちらが先月まで

新宿伊勢丹メンズ館でやっていた

大塚製靴150周年モデル。

この幻の靴が現実に!

受注生産なので

できあがるのに2か月弱かかるとのこと。

99000円。

 

にしてもこんな優雅でいながら

武骨な紳士靴って

イギリスのノーサンプトンミュージアム

(靴の博物館)でしか見たことが

ありませんでしたので

すっかり魅了されてしまいました。

 

残念なことに

マイサイズのサンプルがその場になかったので

今回は購入は見送りましたが(ツッコミ不要)

やっぱり履き心地は気になります。

 

ただしトウの部分以外のフィット感が

ほぼ同じベースがあると。

 

サイズ感もそれでわかるということだけ聞いて

その場では試さなかったのですが

あとからあとから

どうしても気になっていました。

 

〇行くしかあるまい。

 

大塚製靴(以下、オーツカ)の

最大ショップが

六本木ヒルズのショップにあるので

ヒルズ オーツカ(六本木ヒルズ)|ショップ|大塚製靴株式会社

さくっと行ってきました。

 

店員さんもエース級の方たちが

そろっているという噂も聞いたので

その真偽の検証も含め。

 

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異世界へ続くエレベーター。

 

来るのめっちゃ速い。

4階までコンマ2秒くらい。

 

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うん・・・?

貸切った覚えはないんだけど

またうっかりやっちゃったかな。

まるで自宅に帰ってきたような安心感が(以下略

 

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六本木にネオンが映える────。

昼間だけど。

 

入店。

 

めちゃくちゃ広いわけではなく、

LDKくらいの広さに

靴がキレイに並んでいます。

 

「いらっしゃいませ」とダンディなお声がけ。

思わずこちらも会釈。

店員さんは2名。

客(私だ)は1名。

 

2対1か・・・。

 

慎重に対角線を意識して

距離をはかりながら

ゆっくり店内をみさせてもらいます。

 

さすがABCマートとちがって

「サイズ!ご用意いたします!」と

すぐに飛び掛かってはきません。

 

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おや

なつかしいブランキ―二!

※撮影許可いただいてます

 

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グレンソンも!

 

あとからHP拝見したら

世界中を探しまわり、厳選に厳選を重ねたインポートコレクション。世界中のシューメーカーとのセッションにより、日本人の足の特性を意識したシューマニュファクチャーズ[オーツカ]だけのオリジナルコレクションを展開。もちろん造り=作りや履き心地といったクオリティにも強くこだわりました。

たしかに書いてありました。

別注品かもしれません。

 

というかですね・・・

全然話かわるんですが

店内がめちゃくちゃキレイ。

 

オーツカに来る前にヒルズ内の

いくつかのショップも見て周りましたが

正直汚い店は汚い!

白い靴にホコリとかダメだって!

 

オーツカもルブタンも

どうやって掃除してるんだろう?

床は業者かルンバがやってるとしても

靴1足1足は絶対ムリでしょう?

 

ABCマートなんかは接客中でも

普通にクイックルワイパーもってますが

一流店は謎ですね・・・。

 

〇履きました。

 

一流店はこういうところもちがいます。

そろそろ件の靴を試そうと思い

店員さんを呼ぼうと顔を向けたら

視線があった瞬間に来てくださいました。

 

けっして

手を挙げて「すいませーん!」とか

やっちゃいけないお店です。

 

伊勢丹の催事の150周年の~

・サイズ感がわかるモデルを~

 

この二言だけで

「こちらのシリーズでございますね」と

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速攻で用意して頂きました。

伊勢丹もすごいですが

噂通り本店は輪をかけて凄腕です・・。

 

私がシューフィッターということは伏せて

(ごめんなさい)

足のサイズから計って頂きます。

 

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メジャー(巻き尺)を使いません。

足長だけ計り、

足の骨格と肉付きをさわって終了。

 

実はこれ、私と同じスタイルです。

 

メジャーで計るのがセオリー通りなんですが

・それが靴と一致するかどうか

・足が動いた時のイメージ

・カカトの大きさ、骨の位置

なんかはメジャーで計ってもムダです。

 

さわってイメージした方が正確。

ただマニュアルにできないので

自分で言うのもなんですがセンスが問われます。

 

靴を出して頂きました。

 

「ややっ」と驚いたのは

持ってこられたのはなんと1足だけ。

 

普通前後のサイズを持ってきますよね。

ちがいます。

マジで1足だけです。

 

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はい完璧。

 

サイズ感、甲の高さ、脂肪を加味すれば

たぶん普通のお店でしたら

無難にハーフサイズアップです。

 

上から目線で申し訳ありませんが

非の打ちどころがないサイズ感でした。

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羽根の開き方も絶妙です。

 

慎重に歩かせて頂きます。

一番気になっていたのが

カカトの抜け感とふまずが攻めすぎて

痛くないかどうか。

 

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ここは個人差が出ますが

私の場合はカカトも踏まずも

なにも問題がありませんでした。

 

カーペットの上でも、

大理石調のかたい床の上でも。

 

〇動きをみている

 

再度びっくりしたのは

「オーダーされるならハーフサイズ下ですね」

といわれた時。

 

視線は感じていましたが

歩くフォームもしっかりさりげなく

観察されていたんです。

 

たしかに踏み込んだ時に

150周年の「改ラスト」だと

ラクでしょうが半年後ずれてきます。

・・・と感じたことを

まんま言われました。

サトリか。

 

さらに試しているシリーズと

・アッパーの革の質

・中底の沈み具合

を加味すると「ハーフサイズ下です」と。

 

なかなか現物がないのに

サイズ下げるって言えませんよ。

 

どっかで書いてますが

「大きくてもクレームにはならないが

きついのは即クレームになる」のが

どこの靴屋さんにも言えることですから。

 

・・・・・

 

今回はあくまで150周年モデルの

サイズ感を試着しにきたという体ですので

(本当すみません・・・)

「この靴なら!今すぐ買えます!」みたいな

圧も一切なく、

 

「2か月くらい頂くんですよ・・」という

どちらかといえば申し訳なさそうにしている

姿が印象的でした。

 

これが一流の接客です。

勉強させていただきました。

最敬礼!

 

六本木ヒルズ本店でしたら

 

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このあたりのM-5の受注も

常時受けていらっしゃるそうです。

 

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こちらは非売品。

 

20年ほど前に金沢の職人さんに

本物の漆塗りで加工されたもの。

歩くことはできませんが、いいですよね・・・。

 

オーツカも現在は100%国内生産とのことです。

職人さんの層もかなり若くなっており

ひと昔前とはかなり印象がちがいます。

 

靴好きの方はぜひ

六本木ヒルズ4階の直営店へどうぞ。

比較的廉価なモデルもあるので

若い方でも入りやすいはずです。

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

本文中に出てきたのと

かなり近いのがこちら。

 

オーツカ「HS-2318」。

 

49940円。

【オーツカ】 OTSUKA メンズ 靴 ビジネスシューズ HS-2318 [正規取扱店] 内羽根 ストレートチップ 宮内庁御用達メーカー 大塚製靴 幅 2E グッドイヤーウエルト製法 革底 レザーソール 冠婚葬祭

 

履かせて頂いたのは

たぶんこれのデザインちがいです。

 

やっぱオーツカは内羽根をつくらせたら

強いですね。

微妙な言い方ですが

工場が横浜から東京の大田区に移ってから

なにか根本的に化けた気がします。

 

よくも悪くも海外製品のグッドで

5万円前後でここまでの靴って

なかなか作れませんて。

 

バーウィックもジャランも

武骨な靴は得意かもですが

内羽根でフィットするという条件なら

オーツカのほうが一枚上手!

 

外羽根だと国内勢もふくめて

混沌としていて

それはそれで面白いんですが。

 

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それではまた明日!

 

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の前に、

さっそくきのうのご相談者様から

1057 深刻・グッドイヤーの浸水。

メールをいただきました。

 

まさか本当に取り上げていただけるなんて!

心より感謝申し上げます。いただいたご回答をもとに

これからも革靴を愛でていきます。。。!!!

 

これからも楽しくブログを読ませていただきます。

今後とも何卒よろしくお願い致します。 

 

おおお!シビアな回答だったのに嬉しいです!

 

書いてる側って孤独な作業なので

(こんなのでいいのかな・・?)と

基本不安なんですが「書き続けるしかねえ!」

と叫びながら書いてるので、

こういう声が本当にうれしいです。

 

K様、これからもよろしくお願いします!

 

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メール相談と靴のお買い物アテンドも

年中無休でやっています。

 

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それではまた明日!