おつかれさまです
こまつ@shoes_komatsuです。
しっとりした革。
前々回太字にしておきながら
この伏線を回収できてませんでしたね。
あははははは。
全部暑さのせいだ。
田舎あるあるですが
「この靴いいのよー
革がしっとりしていて」
っておばちゃん、あちこちにいません?
ああ・・・・東京でもいるか。
〇しっとりした革靴はアウト
極論ですがね。
ガチ勢はだまっといて。
「しっとりした革」のイメージって
・やわらかい
・うるおいがある
・よって長持ちする
あたりなんじゃないですか奥さん。
ちがいます。
それを言うなら
「野球のグラブの革」が
最高級品ということになります。
具体的に書きましょう。
・成熟しきった大人牛の革を
・徹底的にオイルでなめし
・「バタ振り」機でたたきつけたもの
がグラブの革です。
いわゆるオイルドレザー。
これはこれでもちろんアリ。
グラブには徹底的にこだわってますから。
しかし靴にはあてはまりません。
オイルドレザーで最高峰だと
レッドウィングとダナー。
ワークブーツでこそ生きますが
パンプスとかドレスシューズでは
100%使いません。
使ってたら確信的にサギです。
みわけかたはいたってシンプルで
におってみて油くさかったら
まずアウトです。
正直、国産のオイルドレザーって
めちゃくちゃ安いんです。
一周まわって
革屋でもほとんど出回ってないくらい。
〇硬い革は痛いのは幻想
硬い靴はもんでください。
大事なんでもう一度。
硬い靴はもんでください。
現場でリペアのかたわら
フィッティングもやってますが
このワザ本当に有効です。
やり方は簡単で
直でもいいしビニール袋にいれてもいいし
キューリの朝漬けみたいに
痛いところをもむんです。
やったらビビりますよ。
「硬い革アレルギー」が多すぎるんですよね。
本当にやわらかくていい革って
マニアック的に言えば
ナッパ革のことをイメージされてるはずです。
〇ナッパ革とは?
ミョウバンなめし後に、
植物タンニン、
またはクロム鞣剤(じゅうざい)でなめした、
ヤギやヒツジの銀付き革。
アメリカのNapa地域で
作られていたことが語源。
強じんで柔らかく、光沢がある点が特徴で、
手袋や衣料用に使用されてきた。
現在は、
柔軟で強じんな牛革を指すことも多い。
(出典:
最後の2行はかなり強烈な皮肉ですね(笑)
本物のナッパは
まあ最近本当に見なくなりましたが
たとえば革手袋。
これで16500円。
妥当な金額です。
繊細過ぎて案外
革靴には向きません。
本当のナッパなら。
もういちどご覧いただこう。
現在は、
柔軟で強じんな牛革を指すことも多い。
ここが問題です。
正直いいかげんなナッパ革が
昭和からず────────っと
横行してる。
取り締まる法律もない。
ナッパの定義があいまいすぎますからね。
ネットではほぼひっかかりませんが
百貨店とかの催事で
あやしい浅草(を名乗る)メーカーが
よく出店してます。
「これしっとりした革でしょう?」
セーフ。
「なかなか国内ではつくってないんですよ」
イエロー。
「ナッパ革とかいうんですけど」
はいアウトー!
それただの油まみれの牛革。
たとえば。
この靴。
メーカー名は伏せますが
そこそこの大手です。
商品紹介で笑っちゃいましたよ。
NAPPA(ナッパレザー)の魅力!
「ナッパ」とは、アメリカのNAPA地域で作られている革が語源。
強じんで柔らかく光沢があることが特徴です。
足を包み込むモカシーノ製法でこの人気の革をぜひお試し下さい。
(No.4220では、西ヨーロッパの牛原皮を厳選しソフトな風合いに仕上げています。)
これで4万円?
実物みてきましたが・・・
どこにナッパの要素があるの?
これはサギです。
法には問えませんがサギです。
「西ヨーロッパの牛原皮を厳選し」
いやーこれ普通にステアでしょw
ステアはざっくり言えば大人牛。
細かいことは各自でググって。
少なくとも・・・・
はあ─────────────(深いため息)
牛革で「ナッパ」などおこがましい(怒)!
メーカーさん、
革屋にだまされてない?
革の値段って「デシ」という用語を使います。
10㎝×10㎝が1デシ。
手でシャッター枠つくったくらいの大きさですね。
本物のナッパは1デシで165円前後。
ステアだと・・・60円前後。
3倍以上のぼったくりですよね。
こんなのが堂々と
一流を名乗る百貨店で堂々と売られてるし
買う方もワクワクチンチンだから
どーでもいいか。
あー。
余談ですが私が世界一好きなのは
「シカ革」です。
デシ130~180円くらい。
ご購入はこちらから!
私自身もかつてオーダー靴をつくっていましたが
シカ革一択でしたね。
・通気性がほぼメッシュ
・とにかくタフ
・柔らいのにコシがあってなんなのもう
しかしみなさんが
シカ革の靴を手に取るのは
もうちょい先でしょう。
欠点がひとつだけあって
「伸びすぎて大量生産できない」
この壁だけです。
しかしあと数年でこの程度の壁は
越えられます。
トーラスターも
サイドラスターも
今は「手加減」ができますから。
完全に勘ですが
ショセあたりは絶対好きですね。
シカ革。
本題終了。
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【今日のおすすめの1足】
絶賛値上がり中の
「ユッタニューマン」。
49500円。
この写真を見て
しびれた人はマジで審美眼があります。
都内のセレクトショップでは
のきなみソールドアウトです。
ただ・・・・
本気になれば作れるんですよね。
この程度。
たかがサンダル。
されどもなく
サンダルはサンダル。
827 廃材サンダルふたたび。 - 毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。
これ、ヌメダス同様
・材料
・接着剤
・どこの家庭にでもあるグラインダー
さえあれば
じつは1万円以内でつくれます。
いつか書きます。
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それではまた明日!
※バーは休みます。
こんな日に酒飲んだら死ぬわ!