毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

755 修理屋はだましますよ普通に【激怒】

 

〇靴修理屋は客をだます。

 

ほんの数割が客をだます。

事実です。

 

そのせいでリペア業界に

偏見がもたれるのが絶対に許せんので

怒りのままに書きます。

 

みなさんがだまされないように

大切な靴がこわされないように

がっつり暗い話をします。

 

言葉えらんでる余裕はないから

いきなりアクセル全開で書こう。

 

ツイッター@shoes_komatsuでは

怒りを実況でお伝えしましたが

 

グッドイヤーウェルテッド製法が

あろうことか

マッケイ製法に勝手に改造されてたんです。

 

いきなり専門用語ですみませんが

ヒトの手術でいうと

「肝臓の移植をするのに

腎臓の移植をしちゃった。てへ❤」

 

・・・っていうレベル。

「てへ❤」じゃすまんだろおおおおおおお!

 

しかもそれを確実に

「故意」にやってたので

私の血圧はまた200まであがったわけです。

 

はあはあ。

 

よーし具体的に書こう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇具体例

 

今日の修理で

こういうのがきました。

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わかりやすく

革底に穴があいてますね。

 

これは2択しかありません。

 

・穴をうめてハーフラバーを貼るか

・オールソールするか

 

それぞれメリット・デメリットはありますが

ここでは省きます。

どーでもいい。

 

まず手に取った瞬間

「なんか変だな」

と直感しました。

 

こういうときの勘は

絶対はずしません。

 

ひと呼吸おいて

よく観察すると

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ん?

グッドイヤーじゃん?

 

ロックステッチもしっかり残ってる。

ダミーじゃない。

 

なのに・・・

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なんだこの糸目。

 

まさか。

 

お客さんに許可もらって

中敷きはずす。

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う──────────わ!

悪い予感的中・・・。

 

やっちゃってんじゃん!

前回リペアした業者!

みつけしだい殺す。

 

どうなってるか説明しよう。

 

この靴は

グッドイヤーウェルテッド製法」という

なるべく本体に負担をかけずに

数回なら底を貼りかえられる製法なんです。

(ユニオン製靴様より画像転載)

 

むずかしい話はぬきにして、

たいへん手間がかかる。

工場も職人も限られる。

 

ふつうの5000円とかの革靴をつくるのが

だいたい・・・・

ざっくりで50工程。

 

グッドイヤーウェルテッド製法

(以下、グッド)だと

余裕で300工程とか超えます。

 

その分値段にはねかえってきますが

めちゃくちゃ長持ちします。

うまく扱えば30年とか。

 

古靴の世界でも

グッドの靴ほど

高値で取り引きされてるでしょ?

 

その靴をだ・・・・

わざわざ「底はりかえOK」の靴をだ・・

 

前回リペアした業者が

勝手に

「マッケイ製法」にしてたんです。

本体と靴底をぶち抜き。

ありえん。

レオパレスなみにありえん。

 

こんなやりかただと

当たり前に水、入ってきます。

靴本体もくさります。

 

グッドに比べて

コストもはるかに少ない。

正直ラク

 

靴をつくるときでも

60工程くらいかな。

セメントに縫いを掛けるだけですから。

 

ただし絵のとおり

がっつり本体に針穴をあけるので

基本長持ちはしない(裏ワザはありますが)。

 

これをやっちまったわけです。

本来痛まないはずの

グッドの靴に対して。

 

まあ写真みてよ。

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底はがしたらこう。

 

グッドの靴には

大事な大事な「リブ」っていうパーツがあります。

妊婦さんの胎盤のようなものです。

 

そこに糸をぶっ刺してやがる。

 

でもまだギリ生きてたので

お客さんに

やわらかく説明。

 

そしたら。

 

「たしかに前リペアしたときから

すぐ違和感はあったんですよ。

 

でもよくわからないし

とにかく直るってことだったんで

2万円くらいかけたんですよね・・・」

 

 

あああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああ

あああああああああああああああああああ!!!

 

マッケイ修理で2万は法外!

(標準価格は1.5万前後)

 

しかも肝臓の部分に

腎臓がおさまってる!

やろがい!

 

叫んでいてもしょーがない。

 

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余計な異物をすべてとりのぞいて

グッドの糸も

マッケイの糸も全部ぬいて

Image

絶賛プライス高騰中の

「板コルク」を使う。

Image

これで針穴はうまった。

 

あとはアウトソールをつけて

Image

ロックステッチをかけて

積み上げと

トップリフトをつけて終了。

 

つかれた。

 

ゴールデンウイークで

縫い屋さんがお休みだったので

今日はここまででした。

 

縫いがおわれば

2~3時間で

この靴は生まれかわります。

 

これがグッドイヤーなんだよー。。。。

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

〇なんでこうなった

 

お客さんが「なんとか製法」って

みわけるのは不可です。

 

私ですら1年に2回は

製法をまちがえますので。

 

しかし今回のケース。

リペアしてる側からは

明白にわかります。

 

前回のリペア屋には

 

①ロックステッチのマシーンがなかった

②縫い屋さんとのツテがなかった

③めんどくさかった

 

①②③

全部あてはまってるはず。

だよなあ?

 

バカな職人だ。

 

職人と呼ぶのもおこがましい。

今、絶対食っていけてませんよ。

断言します。

 

今は職人より

お客さんのほうがよっぽど勉強してる。

 

ぶっちゃけ

私がリペアの会社はいったとき(15年くらい前)は

信じられない教育されてました。

 

こ「グッドは設備がないので修理できないんです」

っていうじゃん。

ないものはないんだから。

 

そしたら先輩に怒られるわけですよ。

「マッケイで直せばいいだろうが!」

 

・・・直すのはお前の頭だよ。

直らんだろうがね。

 

ほんの10数年前まで

こんなことが横行してたのは

事実です。

 

まだまだ日本も今より豊かで

しかし知識はなく

職人まかせだったのも事実。

 

そんな時代はとっくに終わりました。

 

「オールソール」なんていう

人生の一大イベントのときには

SNSを最大限使ってください。

直で連絡とって詰めてください。

 

若い職人がガンガン育ってます。

地方でも

腕のある職人がたくさんいます。

 

世界規模だと

絶滅危惧種なんです。

日本はいい意味で異常。

 

私も職場は明かせませんが

(ブログ含め副業禁止なので)

お見積りくらいなら

力になれます。

 

5月9日(月)から

ツイッター@shoes_komatsuのDMにて

足と靴、あとリペアの無料相談

再開予定です。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

さて・・ついでに

超☆絶にマニアックな話します。

ついてこれる人だけついてきて。

 

靴の製法がちがっても

直せるものは直せる。

 

・セメント→マッケイ 〇

・セメント→グッド ×

 

・マッケイ→セメント 〇

・マッケイ→グッド ×

 

・グッド→セメント 〇だけど意味ない

・グッド→マッケイ △

 できなくはないが最終手段。今回のブログ。

 

・グッド→ブラックラピド ×

・ブラックラピド→グッド ×

・マッケイ→ブラックラピド→△

 良質な中板が手にはいるかどうかによる

 

要はですね。

 

セメントはセメントで

マッケイはマッケイで

グッドはグッドで

ブラックラピドはブラックラピドで

直すのがベスト。

 

本題終了。

 

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【今日のおすすめの1足】

 

値上げしてもなお価値がある。

 

リーガル「2235NA」

 

32500円。

(公式だと37400円)

 

ウイングチップ(革底)

ウイングチップ(革底)

ウイングチップ(革底)

ブラウン:

REGAL リーガル 2235NA ウイングチップ 型押し 革底 ブラウン オールシーズン 23〜26.5

黒:

REGAL リーガル 2235NA ウイングチップ 型押し 革底 ブラック オールシーズン 23〜26.5

 

これが「リーガル」だよね。

サイズかなり大きめ。

 

スニーカーで28履いてる人(私だ)

なら

26.5でだいぶちょうどいい。

 

リーガルは販売員はクソかもしれんが

748 プロの仕事をしようよ・・・・・ - 元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

モノはいい。

とくにクラシックライン。

 

たまたま今手元に

「昭和58年」のとある

靴雑誌があるんですが

・・・載ってる。

 

その当時でも3万超え。

 

デザインは当時の

アレンエドモンズから

ひっぱってきてますね。たぶん。

 

販売員はクソでも

正直このモデルは

令和の今でもいい。

 

・設計

・革質

・作りサイドのいい意味での慣れ

 

さらに

 

こんな靴

世界中でも激レアにかっこいい。

 

売られてるうちに買った方がいい。

 

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また明日!