こんばんわ。
靴修理人 兼 シューフィッター 兼
靴マニアのコマツです。
今年になってから極端に
かたよって修理が多くなった靴を
紹介します。
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安い靴やセール品がこわれやすいのは
わかる。
でも、「えっこの値段で・・・⁉」
的なものがこちら。
①メレル モアブ2
実勢価格15000円くらい。
去年は1足もなかったんですが、
今年に入ってからすでに2足。
つまさきの通称「マッドガード」という
黒いUの字型のパーツ、わかります?
つまさきを保護するパーツなんですが・・
割れるんです。
場所は一緒で、
小指と親指のつけねの場所。
ここが屈曲に耐えられず、タテに裂けます。
原因はわかりません。
素材の問題なのか、
設計の問題なのか。
あるいは両方か。
しかし、街ですれちがうこのモデル、
けっこうな頻度で同じ場所が裂けてるので
今は買わない方が賢明でしょう。
②エミュのモカシン
実勢価格12000円くらい。
これは、今年だけじゃなく
去年から不良続出。
で、全然直らない。
モカシンが手縫いなんですが、
手縫いの糸のスタートの「玉止め」が甘く、
そしてそこに一番力が加わるもんだから
すぐ糸がばらけます。
修理で「手縫い」もやってますが、
問題は糸の色。
エミュはアイボリーとかライトグレーとか、
絶妙な色の手縫い糸を使うので、
修理屋にはない場合が極めて多い。
そこだけ黒とか白で縫ったら、
雰囲気台無しなんです。
そしてメーカー側に一向に
改善の兆しがないので、
これも手を出さないほうがいいでしょう。
③バレンチノのこれ。
実勢価格15万円~
こんなにフラットなのに、
シャンク鳴りが異常なほど多い。
(原因不明)
歩くたびに
「キュッ・・・キュッ・・」と響く、
あれです。
シャンク鳴りは、原因がどうあれ
オールソールして
シャンクをしっかり固定しないかぎり
直りません。
脱線しますが、
修理やっていて、最も高額な
「オールソール」(靴底全とりかえ)を
やるときに、
もっとも注意を払うのが
シャンクの固定です。
むき出しの鉄のシャンクを接着剤だけで
中底に貼っただけでは、
いずれはがれて中底とこすれて
シャンク鳴りを起こします。確実に。
なので職人によってはシャンクを革で巻いたり
「サラシで巻いて、接着剤で固めたもの」を
貼りつけたり(私だ)、
個性が垣間みえておもしろい。
話もどしますが、
バレンチノは値段が値段だけに要注意。
本編終了!
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ご褒美タ――――イム!
【今日のおすすめの1足】
ポンプ オムニ ゾーンⅡ 。
18700円。
なつかしいわー。
やっと復刻されたか。
1991年発売のリバイバル。
あ、一応バッシュです。
ベロのまんなかのボールをおすと、
浮き輪みたいに
アッパーの中に空気が入り、フィットします。
野暮な説明はいりませんね(笑)。
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それではまた明日!