こんにちは。
靴修理人 兼 シューフィッタ― 兼
靴マニアのコマツです。
一気に冬になりましたね。
秋、ありましたっけ?
ま、そんなことはどーでもいいんです。
寒いと言ったらブーツですよ。
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でも今年は事情がちがう。
コロナの影響がボディブローになって、
各メーカーのブーツの生産が
間に合ってないんです。
時間的にも、金銭的にも。
私の予想ですが、今年はブーツ、
売れないでしょう。
みんなお金ないもん。
定番のムートンブーツなんか去年で
流行の終止符打ってますからね。
ムートンブーツじゃないけど、
老舗の
銀座ヨシノヤの店長も、
「今年はもうだめだ」って断言してました。
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さあ。
そんな事情なんかどうでもいい。
コマツがちゃぶ台ひっくり返します。
「売れない時代こそ、ダイヤの原石がある」
トマス・ピケティの「21世紀の資本」より。
コマツ的解釈だと、靴で具現化したのが
これです。
冒頭の写真の、アグ。
アグ CA805 クラシック HESTNUT。
ざっくり説明します。
アッパーは完全にムートンブーツです。
15年間売れ続けたこれ。
2万でも、3万でも売れたこれ。
合皮のパクリが5千円で売られてたこれ。
売れすぎてケンカして、EMUが独立したこれ。
「MADE IN CHINA」が本物で
「オーストラリア製がニセモノ」だったこれ。
もうみんな飽きた。
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それを、CA805は
ものの見事にひっくり返しましたね。
これ、やけくそで生まれたモデルじゃありません。
こわいほど冷静に考えられてる。
そもそも中国製をやめました。
基本、今のアグはベトナム製です。
ニューバランスもそうですが、
大事なモデルの廉価版を出す時は
ベトナムの工場を使います。
なぜかって、一番の理由は
圧倒的に「腕がいいから」。
人件費は二番目です。
話戻しますが、
もっとも大事なルックス。
ぱっと見がムートンブーツそのまま。
そして、
クラシックのモデルのとおりあったかい。
さて、したたかなのはここからです。
①アッパー
よく見てください。
地味にわかりずらいように補強されてるんです。
アグのクラシックなあれは、
一枚革でつくられただけに、爪の摩擦で
あっさり穴があくんです。
こんな感じでね。
穴が開くところを全部補強してます。
さらに。
サイドファスナーが地味についてる。
クラシック版は「まんま長靴」なので
足が太い人、
および強引にはいた人は、
ここから裂けます。
それを防ぐためのファスナーです。
大胆な仕様変更なのに、意外と気になりません。
②そして、なによりソール
ですよね。
ホカオネのパクリではありますが、
このハイテク厚底。
一昨年あたりからビブラムと共同開発して、
今年はビブラムのロゴははずれましたが、
クッション力・反発力・グリップ力は
まんま100キロマラソン用のそれです。
歩きやすいのは当たり前で、
ぱっと見の「機能美」でだれでも
「歩きやすい」ことがわかります。
これが街に浸透したら、だれも恥ずかしくて
クラシックなモデルや、EMUも履けません。
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CA805は、ソールはそのままに
こんなモデルまで出してきてます。
これは、ホカオネのボンダイ7に対抗しましたね↓。
ボンダイ7。
いつも言ってる通り
「ためし履きしたら戻れない」。
たまたまコマツは今日
首都圏某所に出張だったんですが、
もろにこのモデルのこの色、2人みました。
ついでにatomosのショップがあったんで、
ボンダイ6履いたま、
アグのこいつも試したんです。
・・・・・・・遜色ないっ・・・・!
ま、ホカオネはガチンコのランナー向けなんで
住みわけは出来てるんですけどね。
できてるはずですが・・・・
非常にあやしくなってきました。
私もそうですが、
ホカオネはガチンコながらも
ダッドシューズの延長線として、
図らずもファッショナブルに履かれています。
少なくとも東京では。
だったらアグにも全然勝算があります。
じっさい、コマツもこのモデルの黒、
先日買いましたから。
いやー、かしこいメーカーだわ。
EMUなんかいつのまにか忘れられるでしょうね。
世界は残酷です。だから美しいものも生まれます。
(進撃の巨人より)
それではまた明日!