元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

137 JIS規格があるのになぜはき心地がちがうのか?。答えます。

右足だけ靴擦れ 足の指と爪が水ぶくれの原因は?痛い歩けない時は放置 ...

こんにちは。

このブログとおもにツイッターのDMで

足と靴の無料相談やっております、

靴修理人 兼 シューフィッタ― 兼 靴マニアのコマツです。

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20代の頃、8年ほどノイローゼになるほど

革靴の設計をどっぷりやってました。

婦人も紳士も。いい経験でした。

それをもとに書きます。

相談部屋によくくる相談で

「3Eなのにきつい」

とか

「シューフィッタ―に2Eといわれたけど

2Eの靴だと実際ゆるい」

とか

「同じサイズ・ウィズ(幅)なのに

メーカーによって全然ちがう気がする」

という質問がけっこう多いんです。

3日に1件はきます。

こういう質問、

全然大歓迎です。

もちろん事情は様々なので個別にお答えしてますが、

ブログもせっかくやってますので、

表の理由、裏の理由、そして

大人の事情もからみの

あまり語られない理由をお答えします。

(正直すごい難しい問題なので、

なるべくかみくだいて説明しますが

わからない、納得できないかたは

私の相談DMにきてください。

無料でお答えしてます。)

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さて。

まずこの表。

採寸の方法と意味 | Column | Making Shoes タルタルガ

 

こんなのが実際にあります。

「足幅が3E」とかそういうやつの、

 

足のサイズの

れっきとしたJIS規格です。

(違反すると最大1億円の罰金)

「JIS S 5037」で検索できます。

いちおう貼っときますね。

https://r.nikkei.com/article/DGXMZO25513140Q8A110C1EE8000

 

要は横と幅と、足の先端の「ぐるり」を

あてはめたものです。

上のグラフは女性用ですが

男性用・子供用も別途あります。

それでも。

これだけは知っといてください。

これだけ厳格な規格があって、

シューフィッタ―がきっちり測っても

足のサイズと靴のサイズは絶対ずれます!

(ジャストフィットの靴が欲しいなら

数字にまどわされず、目をつぶってはいて

直感でえらんでください。)

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理由は大きく3つあります。

理由①

足のサイズと靴のラスト(木型)の大きさがちがうから。

足ってこうやって測ります。

サイズ選び安心「足の計測サービス」|よみもの|シューマート

足のぐるりは巻き尺で。

サイズ選び安心「足の計測サービス」|よみもの|シューマート

長さ・幅は専用の定規で。

こんな感じで、意外としっかり測ります。

デジタルで測っても、

原理的には一緒。

一方。

靴をつくるときのラスト(木型・プラ型は)

こんなのです。

靴木型・靴ラスト、婦人用・LA-1(ラウンドタイプ)(株)マモル

大量生産用のプラ型。

昔の木型(靴型、ラスト)。天然木製の「甲木切り型(甲切り型)」木型 ...

オーダーメイド用の木型。

当然ですが、

硬いんです。

(硬くないと靴つくれません。)

に対して、生身の足は、

片足28個の骨、靭帯、筋肉、

脂肪、皮膚、神経、

そしてなにより血管。

つまり、

水分からできてます。

ぐにゃぐにゃなんです。

さらにここに個人差が加わるでしょ。

左右差が加わるでしょ。

この時点で

ずれるに決まってる。

まったく同じサイズの

「レンガとこんにゃく」を

比べているようなものですから。

それでもまだオーダーメードだと、巻き尺を

締めたり緩めたりして「手加減」ができますが

それでもパーフェクトにはいきません。

人間の足って、どんな人でも

1日の間に数%以上体積かわります。

極端な例だと10%以上変わる人もいます。

朝むくむ人もいるし、夜むくむ人もいる。

(夕方が一番むくむ、というのは今では俗説です。

個人で完全に違います。)

②メーカーがけっこう適当。

メーカーにとって、一番大事なのは

利益。

日本人の場合、

おおむね「幅広」を好む傾向がありありです。

「かなりギリギリ」より

「かなりゆったり」の方が

なんとなく売れそうでしょ?

実際、売れるんです。

メーカーも、JIS規格は一応は知ってます。

ただ、もっと大事なのはイメージ。

コマツが靴設計の8年で一番聞いたセリフが

「とりあえず3E表記にしとけ」

です。

木型、測っちゃいません。

でも実際「3E」表記が圧倒的に売れるのも

事実。

評判が良かったのも事実。

ごくごくまれに

足幅がせまいかた用に

「D」とか「E」のモデルもつくってましたが、

ほとんど需要がないのと、

「きつい、痛い」の現場の声にびびって

ちょーっとワイドにしちゃうんです。

車のる人ならわかるでしょうが、

80キロマックスの高速道路だって、

みなさん90キロくらいで走るでしょ?

オービス気にしながら、120キロ出すでしょう?

でもめったに警察には捕まらんでしょ?

あれと感覚的には一緒です。

JIS規格だって、違反したら最大1億円(!)の

罰金ですから。

あ、おんなじこと2回言いましたね。

ただ、深刻な健康被害とかにならないので

違反して問題になったという話、

靴のメーカーでは聞いたことありません。

これがサイズが合わないふたつめの理由。

③JIS規格の穴。

JIS規格は「長さ・幅・ぐるり」だけの規定。

なので、抜け落ちる穴が

いくつかあります。

特にこの3つ。

ツイッターの相談室および

コマツの現場でのご相談に多い)

・親指の厚みの余裕

・カカトの骨の細さ

・カカトのカーブの曲線

・くるぶしの骨の位置

などはすべて無視されます。

具体例でいうと、

コンバースやプーマあたりは

指先のスペース(トウボックスとか言います)は

かなり低い(薄い)。

ニューバランスや、革靴のドクターマーチンや

ビルケンなんかは

そうとう高い(厚い)。

ただし、ラクを求める代償はフォルム。

トウボックスが高い=「ぼってり」という

フォルムになるので、

やせ我慢のおしゃれをとるか

ひたすらラクをもとめるかは

あなた次第です。

カカトのボリュームも同じ。

ぶっちゃけ、メーカーとしては

ラストのカカトのボリュームが

デカければデカいほどつくりやすい。

小さいカカトは釣りこむときに

シワになって、返品されますから。

にもかかわらず果敢に

「小さいボリュームのカカト」に挑戦してるのは、

紳士の革靴だと国産なら

・ユニオンインペリアル

・ペルフェット

・(リーガルの)シェットランドフォックス

・(オーツカの)ジョンストン&マーフィ

海外ならオーバー10万。

EGとか、GGとか、ベル様あたりです。

婦人靴だと、国産なら

・かねまつ

と、

年齢層上がりますが、

・「菊地の靴」は最強です。

国内で手間かけてるのは

このふたつだけかなー。

海外ものだと、マノロもルブタンも全部

カカトのボリュームは小さい。

「海外の靴しか合わない」

て言ってる人はだいたいそういう理由です。

スニーカーだと、

アシックス・ミズノはカカトのボリュームが

圧倒的に小さい。

いいことなんですが、

デザインがオタクっぽくってイヤ。

というかたには

オニツカタイガー

がおすすめです。

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ふう。

なんとなく伝わったでしょうか。

 

ツイッターのDMの無料相談で

「こういう足でこういう靴は大丈夫ですか」

みたいな質問だともうちょい

つっこんでお答えできますので、

いつでもご相談ください。

私自身のスキルアップにもなりますので!

それではまた明日!