元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

41 レッドウィング

みなさんご存知のアメリカのワークブーツの大御所です。

「レッドウィング」は街の名前ですミネソタにある人口わずか3万人(日本で言うと・・北海道の最北端の稚内市くらい)の街に、従業員が450人ほど勤めています。創業者がドイツ系移民者のベックマンさん。

ちなみに東京の赤羽とは姉妹都市です。・・・すいません嘘です。でも調べると赤羽にはレッドウィングっていう雀荘や飲み屋がちらほらあるみたいですね(笑)。

レッドウィングといえば白いソールのアイリッシュセッター

アイリッシュセッターワークブーツではなく、ハンティングブーツです。土や草の上でも極力足音を消すように、わざとごついビブラムソールではなくスポンジ底がついているので、街中で履くと半年でヒールがクサビのように削れます。

高かったからと言ってショップにクレームを言わないようにしましょう。語源の犬のアイリッシュセッターは狩猟犬です。

ブーツの方のアイリッシュセッターは戦後まもなく産まれ、現在までに400万足売れています。まあ・・ここまでパクられたブーツもないでしょうね。日本だとリーガル、ホーキンス、セダークレスト、いまはなきトムマッキャン等々。バッタもんの方が確実に売れてますから、世界的にはアイリッシュセッター的なブーツは1億足を突破してるかもしれません。

ちょうどいい機会なので、レッドウィングとホーキンス、セダークレストの違いを修理業の視点でぶっちゃけていきましょう。ふふふふふふ。一番違うのは底付の製法ですが、とばします。アッパーの革が全然違います。

レッドウィングは「フェザーストーン」とか呼ばれているオイルレザーで、厚い。最初のうちは猛烈に硬い。1年くらいで味が出る。足が靴擦れに耐え切れなくて1年未満で履かなくなる人もめちゃめちゃ多い。

それと、中底(直接足の裏にあたるところ)が上質なタンニンなめしの革なので、汗と匂いをほぼ吸収してしまう。

↑これが中底用の革です。アッパー用の革と違い、天然の「超」抗菌作用のタンニンでなめしてあるので、着色はできませんが「ザ・革」といった風合いです。想像できないくらいの汗を吸います。汗を吸って、殺菌して、乾燥して排出する。

いまのところ、どんなハイテク素材でもある意味かないません(重さ・コストは革の方が掛かります)。

一方のホーキンスとセダークレストパルプの中底で、上にスポンジのカップインソールが入っています。足当たりソフトです。でも一切汗が逃げられないので、蒸れます。さらにパルプ(紙)は当然腐りますので、カビも生えるし匂いに至ってはもう・・・。ただ原材料費が浮くし、アッパーの革もハルタのローファーみたいなペラペラな革なので、スニーカー感覚で買えて、靴擦れもほぼありません。寿命は2年もたないと思っていいと思います。ファッションとして学生さんが履くなら、全然アリです。

以前ほどではありませんが、よくアイリッシュセッターは修理にきます。ヒールが斜めに削れている部分修理でアンダー3000円ほど、全部取り換えるオールソール修理だと、国産の「なんちゃってビブラム」で8000円くらい、「純正のビブラム」で12000円くらいですね。はっきりいって強度の違いはありません。長く丈夫に履きたい方は白ソールをあきらめて、黒のコマンドソールにして下さい。

白のソールでもっと丈夫なのないの?はよく聞かれる質問ですが、ありません。車のタイヤの色、みんな黒でしょ?ゴムを丈夫にするには、炭素だの焼き加減だの圧縮率だの、結局黒くなっちゃうんです。茶色のゴムと黒のゴムですら、正直持ちは全然黒の方が上です。

あとは裏ワザとして、新品か新品に近い状態で上からSHOO GOOを塗るくらいですね。

長くなっちゃいましたが、今回はこのへんで!