元・靴設計士 兼 現・靴修理人 兼 シューフィッター 兼 靴マニアのコマツです。

東京某所で靴修理やってます。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間ほど靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと書いていきます。

10 スコッチグレイン

紳士靴で一番心配しているブランドです。(メーカーはヒロカワ製靴)

純日本製のブランドで、もう数十年前から良心的な価格(3~5万円)で、グッドイヤー製法ひとすじにこだわり、革質も良く、どこからでも修理できる、そんなブランドです。

メーカーでのアフターケアも手厚く、部分修理もオールソールも、まあ想定できるたいていのことはやってくれますし、私のような「町の修理屋」でもかなりのところまで直せます。既成靴で最初からシューキーパーが付いてくるのも、ここだけではないでしょうか。

修理屋からすると靴底を剥がしたりする時に、ある意味フルヌードの姿を見てしまうわけですが、例えるなら・・和服美人が脱ぐとすげーボディだったー・・みたいな感じです。←妄想です。

すべてのパーツに手抜きがないんですよ。全く同じものをヨーロッパで作ったら関税の上乗せも含め、オーバー8万円くらいになるのではないでしょうか?そのある意味地味な佇まいと質実剛健な雰囲気から、勝手に「和製クロケット」と呼んでいます。

男性の方は、「いい靴買おう」と思ったら、スコッチグレインを買ってください。

今のうちに。

含みをもたせてすみませんが、なにが心配なのかというと、いつまでこの値段とクオリティで市場に残れるのか、ということです。

そもそも革靴をみなさん履かなくなってきてますよね?女性もパンプスを(徐々にですが)仕事用に履かなくなってきてますよね?下手すると黒のきちっとした革靴は冠婚葬祭だけ、なんて人も珍しくないはずです。

3・11の震災以降、一気に革靴は売れなくなりました。おととしのスポーツ庁のふれこみで、去年あたりからスニーカー通勤が全く当たり前になりました。通勤時、電車の向かいに座っている全員がスニーカーだった、なんてことがしばしばあります。

一度スニーカー通勤が当たり前になってしまうと、「硬い、重い、メンテにも手のかかるグッドイヤーの革靴」に足を入れたいとは思いません。

同じ日本の紳士靴のリーガルやオーツカは、すでにビジネスライクなスニーカーを発売してますし、クラシックな革靴もマッケイ製法やセメント製法がメインになってきています。海外の高級紳士靴メーカーも然りです。

完全にスコッチグレインだけ取り残されました。

深くは申しません。勝負靴で迷っていたら、スコッチグレインは今のうちに買っときましょう。数年前のイタリアのタニノクリスチーの二の舞になる可能性が個人的にはあると思います。

今日はこのへんで!