毎日靴ブログ@元・靴設計士 兼 元・靴修理人 兼 現シューフィッター 兼 靴マニアの こまつです。

東京某所で靴修理やってました。イギリスのノーサンプトンで靴のあれやこれやを学んで、20代の頃10年間靴の設計の世界にいました。30代からリペアの世界へ。靴フェチではありませんが、革靴からスニーカーまで、高いのから安いのまで、めったやたらと毎日書いていきます。修理は9月で退職。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。HPはこちらhttps://sf-komatsu.com/

3 イセタンメンズ

紳士靴です。名前の通り、伊勢丹の紳士靴売り場で販売されており、品質のわりにコスパよしとしてよく靴磨きや修理に来る靴です。

今回はこの靴を修理人の視点からぶったぎります。

これ・・・買おうか悩んでる方がいたらひとまず「やめとけ」と後ろから羽交い絞めにしますね。

アッパーの革の品質はいいんですよ。キップ(子牛の革)使ってるし、磨けば味も出るし、鏡面もラクにできますから。

ただ、底回りの作りが非常によろしくない。ヒールの土台と本体を片足ホッチキス5本で止めてますから。アンダー1万の革靴でも専用の釘で、片足最低5本、しっかりしているところだと7~8本で止めます。

当然、良く「土台からのヒール外れ」の修理が頻繁に来ます。ゴム交換と同じくらいの頻度でしょうか。当然、そのまま歩くとケガしますよね。

それと、ホッチキスがだんだんせりあがってきて、中敷きを貫通して「痛い」というご相談も良く来ます。

どちらの場合も中敷きを外して、ホッチキスを抜き、空いた穴のところに専用の釘を打ち込んで直します。だいたいどこの修理屋でやっても両足で3000円前後だと思います。1日くらい預かる場合が多いですね。

追い打ちをかけますが、アウトソールとヒールの積み上げの革の品質がよろしくない。

え?段ボール?と見間違うケースもままあります。革は革なんですが、たぶん革の端っこを使っているのでしょう。消耗が激しすぎます・・。

靴も人も見た目が9割だとは思いますが、絶対手を抜いちゃいけないプロセスがあります。そこを10年くらいずーーっとやってるわけですから。。この先も変わらないでしょうね。同じ値段帯ならジャランスリワヤかスコッチグレインを激しくお勧めします。

実は紳士靴にはもうひとつ、「たぶんみんな知ってるけど絶対買わない方がいいブランド」がもうひとつあります。

 

それはまたいつかお話しますね・・